3-5:全てが幸せな結末じゃない[ 2/9 ]


 段々と、物語の中の登場人物たちは私達と同じ年齢へと近付いてくる。
 そうして、やがて。私たちの年齢を超えて。

 彼らは高校3年生になり、圭と遊里は教師になることを決意した。
 教師、かぁ。
 賢ちゃんのことを思わず思い出した。



 そして、クライマックス。
 遊里は圭と宗助の弟と家に帰っている最中、事故に合ってしまう。
 遊里は今も、眠ったまま……というところで終わった。
 ……ハッピーエンドでも、バッドエンドでもない終わり方。
 普通に不満を持つ人もいるであろう、中途半端と言えてしまう終わり方だった。


 だけど、私は感動した。
 演技が上手なのもあるし、なにより内容が感動した。

 圭の苦しさや、それでも前を向いていく強さ。
 なんてかっこいいんだろう。


 智くんに借りて小説も読もうかな。

私達は映画館を後にする。





「感動しました……」
「泣きすぎ」

「智くんだって、映画中にちょっと泣いてたの知ってるんだからね!」
「……気のせいだ」



 ぷいと目をそらす智くん。
 ……なんか可愛いなぁ。



 少し歩いて、寮に帰る。






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