*R15



















甘いなあと、また俺は繰り返しそう思考した。本当、甘い。どこもかしこも甘美な味がする。



「あのは、ひんどう」
「…っひ……あ、あっ、…な、なに…?」



神童がゆらゆらとチョコレートカラーの瞳を不安そうに揺らした。あはは、神童可愛い。俺は少し名残惜しく、咥内から神童の指を引き抜いた。神童の細くて白い指と俺の唇が銀色の糸で繋がった。それがゆっくりと、プツンと切れた。



「…あ、」



神童が頬を紅潮させながら、名残惜しそうに甘く声を洩らした。何だかんだで神童も期待してるんだ。まあ、つまりはそういうことだよな。



「神童がさ、」
「…へ」
「神童があんまり甘くて美味しそうだからさ、俺お腹空いちゃった」



お皿割っちゃった、みたいなニュアンスで俺は神童に宣言した。神童はポカンと瞳を丸くしていたけど、その言葉の意味を理解すると顔を真っ赤にしてあたふたし始めた。これで男って一体全体どういうことなんだろうな。



「きっ霧野!何、言ってるんだよ!」
「素直になれって。何だかんだでお前もそういうこと、期待してんだろ」



ニコニコと笑いかけながら、ゆっくり神童の体をベッドに押し倒す。神童のベッドは相変わらずフカフカで、その柔らかさに神童を纏う甘い空気が更に甘さを増す。意識がぼんやりしてくるのを感じながら、神童のシャツのボタンを外していった。抵抗が緩いのを見ると、意識がぼんやりしてきたのは神童も同じらしい。なんて好都合。



「いただきまあす」



少しおどけて言ってから、神童の真っ白な腹に舌を這わせた。味わうみたいに。神童が息を呑んだ。



「霧、の…っ、や、め………ンくっ…、」



そんな言葉、抵抗に入らないんだけどな。腹を舐めあげる度、神童がピクピクと跳ねる。きっと焦れったいだろう。下腹部だし。俺は舐めあげる箇所を段々上に移動させていった。肋骨の溝だとか胸だとか鎖骨だとかそういった箇所。



「きりっ…の…」
「ん、何」
「………あっあ、う、…んん」
「……」



神童が涙目で何か訴えてきた。うん、言いたいことは分かってる。でも言わない。言ってやんない。と、黙り込んだ神童がボロボロと泣き始めた。涙を拭ってやりたくなったけど、生憎神童の両腕を拘束するのと腰を撫で回すのに忙しいんだ。あ、涙まで甘そう。



「…うぅ、……き、り、のぉ………きり、の……ひぐっ」
「だから、な・あ・に?」
「…意地が、っ、悪………」
「そんなの神童がよく知ってるだろ」



口元を三日月型に歪めて、神童の淡い唇に噛みつく。噛みついては離して噛みついて離して。そう繰り返してからふやけて開いた神童の唇に舌を侵入させた。俺の舌が神童のを絡ませて、引っ張って吸って、なぞる。俺の体が不意にぶるりと震えた。幽かに目を開けてみると、神童が顔を強ばらせながらも懸命に俺を受け入れていた。ぐらり。
俺が唇を離すと、銀色の糸が今度は俺と神童を繋げていた。神童は肩で呼吸をして、熱い吐息を洩らしている。



「ごめん。ちょっと、余裕、無くなってきた…」
「…はあ、はァ、っ………霧野、の…ばかぁ…」
「は、ははは」



思考が間に合わない。そう気力が訴えていた。俺はひたすら目の前の神童を見据えた。チョコレートの瞳がとろりと溶け始めていた。神童がその溶けた声で俺を呼んだ。神童が俺の名前を囁くと、それさえも甘美に聞こえるから不思議だ。神童のベッドに散らばる髪が、匂いが、俺に食べてしまえ食べてしまえと囁いている。



「…は、言われなくとも」



俺はそう悪態を吐いて、神童の中身に成る為の準備を始めた。
















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