「なぁ、いい加減辛い」



俺は手にしていたシャープペンシルがピタリと動きを止めるのを自覚した。目の前いる霧野が、どんな表情をしてそんな事を口に出したのかなんて怖くて視界に入れることなんて出来やしなかった。



「霧、野、」



掠れた声が出た。


「神童お前、分かってんだろ」



霧野が声のトーンを下げた。
何を、とは聞かなかった。
分かってたから、だ。
ただ、俺が霧野から逃げてるだけだ。



「俺がお前に対しての『好き』の種類」
「…っ」



思わず両手に力が入ってしまった。シャープペンシルの金具が悲鳴を上げる。



「狡いよ」

うん

「拒まないし受け入れた感じもしないし」

うん

「俺が『そうゆう意味の』好きって言ってもニコニコするだけだし」

…うん

「俺は前に、進みたくて言ったのに」



霧野の方から衣類の擦れた音がした。



「きり「頼むよ神童、俺を生殺しにしないでくれよ」



泣きそうな声色だった。
俺にも話させて欲しいな。
嗚呼、視界が滲んだ気がした。泣きたいのは霧野の方なはずなのに。
嗚呼、おかしいな。
嗚呼、嗚呼。
俺だってこんなに好きなのに、な。

















生殺し合い
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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