俺が何か、持論を言ってどう思う?と聞くと、決まって緑川は持論を粉々にするようなことをさらりと言ってのける。
結構傷付くんだけどな。それでも聞いてみる俺って何なんだろう。



「そんなことを俺に言うからだろ?なら言わなきゃいいじゃん」
「っと、いや緑川の意見を聞きたいだけだよ」
「…よっ、他にも宛てがあるだろ。風丸とか鬼道とかさ」
「うーん」



俺は緑川からのパスをもらって静止した。緑川が呆れたように、歩み寄ってきた。



「大体『生まれ変わっても俺たちって好き合えるかな?』なんて色々ツッコミどころあって追い付かないよ」



うーん、相変わらずバッサリだ。
俺はいつもみたいに聞き返す。



「例えば?」
「『転生』が存在して、転生出来るなんて確証ないだろ」
「夢を持ったっていいじゃないか」
「それを批評してるんじゃなくてさ、俺自身は転生を信じてないって話だよ」
「え、信じてないの?」
「小さい頃天国があるかないかで言い合ったろ?それで信じないって言ってた奴が転生を信じてるって矛盾してるよ…」



緑川は首をコテンと左に傾けた。緑のポニーテールが遅れて左に揺れた。
そう言われるとそうだな。
俺はまた緑川に聞いてみる。(偶には肯定的なこと言ってくれないかな、なんていう期待のためなんだけど。)



「緑川は俺好き?」
「うん」
「どれくらい?」
「…け、っこう、好き…だけど」



緑川が自分の頬が赤く染まってきているのを隠すように、顔を変な方向に背けた。



「じゃあ、愛の存在は認めてる?」
「…うん?」
「…愛の力は」
「ヒロト、それ言ってて恥ずかしくないの?」
「え?」
「え?」



悩ましげな顔をして俺達は顔を見合わせた。(まだ緑川の頬は赤い)恥ずかしい、かな。



「緑川、これで恥ずかしいなんて言ってたら人間終わりだよ」
「そーだけどさ。あ、いや大袈裟だよ」
「で、愛の力は信じてる?」



緑川が今度は首を右に傾けた。眉間にかなり皺が寄っていた。



「微妙だよなーそれは」



さらに悩ましげに緑川は息を吐いた。



「とことんリアリストな緑川も流石にバッサリ出来ないだろ」
「だってそれ否定しちゃうと、俺達の関係否定しちゃうじゃんか」
「まあね。あ、魔法は?」
「そんなのナイナイ。流されないって」



はは、やっぱりか。
俺は手を翳して空を仰いだ。緑川も、隣でおーとか言いながら空を仰いだ。



「…ヒロト、何かあった?」
「ふふ、ちょっと面白くてさ」



緑川を見ると、少し驚いた様子でこちらを見た。何が言いたいの、と不思議そうに聞いてきた。



「夢見る俺と現実を見る緑川。なかなか面白いなあって」
「あーまあ」
「何か俺が夢見る分緑川が現実を見てさ、緑川が現実を見る分俺が夢見るみたいな」
「はは、何それ」



緑川がカラカラと肩を奮わせて笑った。この持論を粉々にする気はないらしい。
俺は安心して続けた。



「立派な理由だと思うんだよね。俺と緑川の存在理由」



近付いて、脱力した手を取ってからニンマリ笑ってみせた。
緑川はボ、っと更に頬に赤みを増して悔しそうに肩を竦めた。



「ヒロト、それ反則だって…狡いって。」



え?反則?狡い?本心だよ。

















夢現戦争は終わりません

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