また首根っこを掴まれた。ぐえっ。



「何してるんだ、虎丸」
「あははは、やだなあ豪炎寺さん。何もしてませんよー」



足が地面から若干浮いているのを感じながら、俺は笑ってみせた。豪炎寺さんは怪訝そうな顔を更に深くした。あれ、バレちゃったかな。



「その足は何だ」



あ、バレてた。流石豪炎寺さんだ。思わず感心した。豪炎寺さんが呆れたように息を吐いた。肩まで落として。



「ちぇっ、足払いしようとしただけですよー」
「……」
「やだなあ!何で睨むんですか!愛故ですよー!」



ジトリと睨まれた。俺はまた笑いながら、若干宙に浮く足をプラプラさせた。黙然と睨まれるのは地味に怖いものがある。特に豪炎寺さん相手だと余計に。俺は唇を尖らせて言う。



「えーだったら構ってくださいよー」
「…虎丸、俺は今何をしてるように見える?」
「ベッドメイキングですね」



それがどうかしたんですか?



そう首を傾げると、豪炎寺さんはまた息を吐いた。そんなことしてると幸せ逃げちゃいますよ。誰のせいだと言われた。あれ、俺ですか?



「それを背後から近付いて足払いするって、お前は何がしたいんだ?」
「構ってほしいんです」
「…本当は?」
「構ってほしいんです」



俺は同じ答えを返す。豪炎寺さんは納得しない。やだなあ、俺って胡散臭いのかな。



「…構ってやるからちょっと待ってろ」
「わーい」



仕方無いというように豪炎寺さんは俺の首根っこから手を離した。やった!
俺はくるりと一回転した。それからベッドメイキングに戻った豪炎寺さんに足払いを仕掛けた。あれ、大成功。見事に俺はマウントポジションを獲得した。これまたやった!



「…虎丸」
「すいません豪炎寺さん。貴方のそんな顔が早く見たかったんです」



俺はニッコリとしてそう言い放った。
さて、どうしようかな。















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