「私はね」

話しかけても口が動かせないのだから意味がない。そんなこと分かってるの。でも私は貴方の返事は聞きたくなかった。だからまた私の無駄口は動く。

「お人形が大好き」
「冷たくてスベスベして氷みたいな感触だとかそういうとこ、ろ」

でもね。でも、ね。動かないお人形みたいな貴方はいらない。

「目も開かない、体が機能しない。何よりぃ」

私を見ない貴方なんていらないの。あら嫌ね。泣いてなんか無いですよ?動かない貴方の頬に落ちたのはただの水なの。

「分かりましたかぁ?」

落ちる水が私の無駄口を空っぽにしていく。




2012.06.13 (Wed) 19:54


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