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「やあ、」
あの、銀髪が笑った気がして唯一動かせる瞳を開いた。案の定、あの女の子に見える存在がそこに浮かんでいた。本当に、浮かんでいた。
「少し心配になって来てみたんだけど、大丈夫そうだね」
あの時とはまるで違う可愛らしい笑顔を添えて、唇が告げた。俺は指一本も動けない。
「君にはいつも驚かせられるよ、『それで』まだ希望を失ってないんだね?」
(あいつらを信じてるからな)
「…」
間髪入れずに伝えると輪廻の赤い目が伏せられた。
「面白くなぁい」
(人間を玩具扱いにするのは止さないか?)
「まだそれを言うんだね、そうなんだね。10年前と変わらないね」
にんまりと笑われた。まさかあいつらにちょっかい出したとか言わないだろうな?そう尋ねればフワフワした黒いスカートを揺らす。
「演劇には、舞台には、脚色は必要でしょう?でも珍しく我慢しているんだよ?」
(…ホントに珍しいな)
「賭けてみるのもいいかなってさ」
神様がそんなんでいいのか?
すると輪廻はこの世は気まぐれでしょう?という正論で論破した。
2012.06.08 (Fri) 18:37
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