「いった…」

神童が憂いげに顔を歪めた。吐息と共にその呟きが聞こえて、俺は首を傾げた。

「何?痛い?」
「あっ…そ、じゃない……爪、食い込んで痛いん、だ」
「爪?」

神童の白い腕から手を離して手の平を広げてみると、確かに爪が長くなっていた。あちゃー、これは痛いよな。

「あー待ってな。ちょっと切るからさ」

上体を屈めてミニテーブルに置かれた爪切りを手に取ると、涙の渇いた神童の瞳にまた涙が滲んだ。あ、泣いた。

「い、じわる…!」
「だって痛いんだろ?」
「うぅう…」

パチンと爪を切りながら神童を盗み見ると、いつものようにボロボロ泣き始めた。そうやって煽るなって。こっちだって辛いんだから、さ。














坂上様が蘭拓不足だというので補給




2012.03.27 (Tue) 08:58


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