「ねーねー優一さん、僕何時まで我慢すればいいの?」

可愛い可愛らしい太陽君が、不機嫌そうな掠れた声で聞いてきた。馬鹿だなあ、許しがもらえると思ってるのかなあ。

「駄目だよ、まだ。俺死んじゃったらそれからどうするの?俺が死んでもいいの?」
「駄目だけど、駄目だけど、嫌だけど…我慢するのも嫌だよ…」

ガリガリと太陽君が俺のベッドを掻き乱す。アクアマリンに輝く瞳も、今はくすんで隈に覆われていた。嗚呼可愛い。そんな君もいいなあ。『俺に執着する』なんて、美味しいシチュエーションだと思うんだ。
俺は優しく優しく太陽君の頭を撫でて囁いた。

「今は駄目だけど、死ぬまでずっと傍にいるから。俺が死んだらその死体は太陽君の好きにしていいからさ、今は我慢して?」

太陽君が感激したように、物凄い勢いで抱きついてきた。うーん、このやり取り何回もしてるんだけど、太陽君気付いてないのかな。




2012.03.17 (Sat) 14:01


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