「嗚呼、嗚呼、嗚呼嗚呼!」
目の前のキャプテンがいつもみたいに俺の首を締め付けてきた。もう慣れた。もう馴れてしまった。この異常なキャプテンの対応に、俺は慣れてしまった。別にいいんだけど。
「っは、……キャ、プ、テン…ちょっ、と…くる、し…」
「ああ、悪い」
キャプテンは悲痛に歪めた顔が嘘だったかのように笑って、首に込める力を弱めてくれた。危機感など何時だったか切り捨てた。どっちかというと『切り捨てさせられた』のかもしれない。いや、だから別にいいんだって。
「嗚呼、あーあ、何で俺はお前が好きなんだろうなあ」
別に残念そうには聞こえなかった。キャプテンの声色がしっとりと恍惚を帯びる。俺はこの瞬間が一番好きだったりする。いや、俺はマゾなわけじゃない。正しく言うとキャプテンに恍惚とした声が囁かれるのが好きなんだ。
「狩屋あ狩屋あ狩屋あぁ…」
「…、だ、いじょうぶです、よ。俺もずっとキャプテンが好きですよ」
「あははははは。狩屋あ狩屋あ。ごめんな?痛いだろ?痛いだろ?でもそうされてる狩屋がいーっちばぁん好きなんだぁ」
いいんですよ?いいんですよ?キャプテン。
その代わり。その分だけ。俺を愛してさえくれれば、俺はそれで。
次の瞬間には俺の喉にキャプテンが手加減なしにかぶりついてきた。恍惚とした表情で笑ってきた。
2012.03.16 (Fri) 13:57
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