トンネルを抜けるとアンタがいた。珈琲の入ったティーカップを持って。ティーカップといえば紅茶じゃないの?そもそもアンタって珈琲派だっけ?

「よう、子羊ちゃん」
「はあ」

子羊、子猫ではなく子羊。子羊といえばあの、彷徨えるなんちゃらとかアンドロイドは電気なんちゃらの夢を見るかとか、そういう。

「審議中悪いがお前は俺が好きか?」
「え?」
「それはもう一度という意味か?」
「違いますけど」
「けどとかつけるな美しくないぞ、そうだな疑問に思うだろう違和感を覚えるだろうさ」

まくし立ててくる。なんでさ。

「好きですよ」
「そうか」
「アンタにとっては絶対の否相対的な事実なんでしょう」
「いいやそれは言葉という形を取っただけに過ぎぬさ。」

嘘だったのか。そうじゃないと、センパイの声。センパイみたいなセンパイの掠れた艶っぽい声。俺の苦手な声。

「俺には、何もないのだ」

センパイの告白は始まった。トンネルを抜けたらそこにはセンパイがいて、違和感を率いて率いて、告白を始めた。
長い告白だった。トンネルはもうない。




2013.06.20 (Thu) 15:16


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