夢を見たんだと霧野先輩は言ってきた。こんな人間だか何だか分からないような人でも夢は見るものらしい。信じがたい。
「そんな嬉しそうな様子からすると、俺にとってはいい夢じゃないでしょうね」
「俺達が一緒にバラバラになった夢だった」

ほら見ろ。ろくなものではなかった。

「血液なんかは一滴も飛び散らないで体だけがバラバラになって崩れていったんだ」
「…何がそんなに嬉しいんですか?」
「一つになれたからかな、お前と」
「相変わらず気味悪いですね」

霧野先輩の光の入っていない目が俺を追ってきた。目はこんなに奇麗なのになあ。

「気味悪いと言い続けながらも俺の傍にいるところも可愛いな」
「……認めたくはないですけど、俺もどうせあんたが好きなんでしょうよ」

心臓がそう叫んでいるだけで理論も何もないのだけど。
でもきっと俺はこの人が好きなんだろう。何処まで好きなんだろうな。
霧野先輩はそれに対して恐ろしいくらいの笑みを向けてきて、どんどん堕としていくのでした。
わあ怖い怖い。














蘭マサの日お祝い文章




2013.03.15 (Fri) 08:27


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