「…どうして覚えてるんですか」
「どうしてって…」

いやな予感はしたんだ。家に招かれた瞬間に、俺の肌を這いずり回る電撃に。性的な方だったらまだマシだった気がする。…と考えてどっちもどっちであることに気づく。勘のいいガキは嫌いだよってこういうときに使うんだろうな。
俺は目の前の蝋燭を睨んだ。どうせなら蝋燭なしで『普通に』食べたい。

「好きな奴の誕生日を覚えていてはダメなのか?」
「…そうじゃない、です」
「…祝っちゃダメなのか?」
「………誕生日って嫌いです…」

思い出すんだ。色んなこと。でもそんなこと言ったらこの人馬鹿みたいに悲しそうな顔するから口を開かない。

「…すまない、でも…ずっとそんな顔で誕生日、迎えてほしくないんだ」

馬鹿みたいだ、神童先輩。俺なんかに惚れた時点で、馬鹿みたいだ。それに泣きたくなる俺もそうだ。ずっと俺は馬鹿だった。馬鹿。

「お人好し」
「そうかな」




2013.02.01 (Fri) 09:43


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