「いつか殺すよ」
「…」
「刺して殺すか盛って殺すか、なんてことまでは分かりませんが」

気がつくのが遅かった。自分のことなのに。それが殺意だけから来るものと、一体誰が言ったのやら。誰もそんなこと言ってないだろうよ、学校で習った?いいや違うね。

「何でそこまで殺したがるわけ?出来そうにもないけど」
「最初はまあ、仕事だったし」
「あー俺こんなんだしなあ」
「でしょ?でも今は違いますよ」
「ふうん」
「好きになっちゃったから」
「はい?」
「好きになったら尚更、あんたがどんな顔してどんな声出して死ぬのかって思えてきちゃって」
「へぇ興奮する?」
「うん」
「成る程な、れっきとした殺し屋ってわけ」
「みたいです」

なんとまあ酷な話だ。愛しいと堪らなくその断末魔やら噴き出す血を眺めたいと思うのに、殺せない。この先ずっと殺せない気さえする。傷さえ付けれない。殺されてほしいけど生きていてほしい。愛しいってそういうことだ。
酷い生殺し。

「好き、なんですよ。これが、俺の」
「丸見え過ぎて言葉が陳腐になってるぜ」
「そりゃ助かります」




2012.10.12 (Fri) 00:35


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