素直とは、言えない。そんな狩屋がそっと俺の目を隠した。
取り敢えず目を瞑ってどうしたんだ、と優しく聞いてみると狩屋は
「何でもない」
と言った。そんな馬鹿なあ。
狩屋の両手が俺の頭ごと自分の方へ寄せてきた。重心的に考えて無茶な体勢だなと思ったけど耐えてみた。
「どうしたんだ、」
さっきより甘い(ように思えた)口調にした。
「ねえ、神童先輩」
「ん?」
「淋しいよ」
「…誰もお前を置いていかないさ」
「時間は」
「………狩屋は、頭がいいな」
「こうしてる俺も、寝たらどっか行っちゃうんですね」
「うん、」
「淋しいよ」
「…うん」
頭のいい今だけ(少し)素直な狩屋は俺を泣かせる方法までよく分かるみたいで
「参ったな、」
なんてことくらいしか言えなかった。
2012.09.17 (Mon) 22:01
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