「夏がな、追いかけてくるんだ」
「えっ」
「だから、夏が、俺を追いかけてくるんだってば」
「……どうして」
「青山俊介は、夏に死んでるはずなんだって」
「は?」
「つまり俺は本来ここにいないんだって」
「………夢?」
「夢じゃないよ、だってあの蝉の大合唱が言うんだ。『さあ早く死ね』って。計画が狂うとやっぱり嫌なんだろうなー」
「…死にたい、じゃなくて良かったよ」
「うん、まだ生きてたいから。少なくとも後50年くらいは」
「…今日も轢かれそうになったの…」
「ほら、追いかけられてるからさ」
夏休み中の青山君は病院と包帯にお世話になりっぱなし。
2012.08.07 (Tue) 10:58
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