「ほら、夏が死んでるよ」

猫みたいな目が、力無く笑った。骨っぽくなってきた指が辺りを指差して回る。
確かに最近、夏特有のあの暑さが無い。肌寒くて下手をしたら秋の初めのような温度。でもだからって『死んでる』は言い過ぎだと思う。

「夏は死なないさ」
「夏は死ぬし枯れるよ」
「何で」
「冷たい夏。ほぉら死んだ」

ついでに狩屋の目も冷たいぞ。とは言わなかった。狩屋がこう続けるものだから。

「皆、死んじゃうんだもんねえ」




2012.07.22 (Sun) 18:55


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