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3月拍手(八神、奥野)

■ひな壇のいわれ(八神)
「うぅ、眠たい…」
「夜更かしするからでしょう…」
「だって、雛人形3月5日までに片付けなきゃお嫁に行き遅れるとか言うしさー…」
「だからって日付が変わるギリギリに必死で片付け始めるのはどうかと思うし驚いたわ…。
大体、それは迷信。
片付けを後回しにするような女性は素敵になれないという躾の一種だから」
「迷信でも『あの時片付けなかったからかな…』と思うのが私は嫌なのー」
「はぁ…。名前が納得するならそれで良いんじゃない」
「玲名ちゃんは気にならないの?お嫁にいけないとか」
「特には」
「(まぁ美人だし賢いし行き遅れるとか縁遠い話だろうな…)」
「その迷信が真実として、お嫁にいけなくなったとしても婿入りして貰えば良いんじゃない」
「その発想は無かったな!?
さすが玲名ちゃん、私とは思考の次元が違うね…」
「これで少しは安心出来たかしら?」
「あっ私の為だった?
ありがとう、そうだね…何かどうでも良くなった」
「ちなみにだけど…」
「?」
「すぐに片付けられない時は雛人形達を後ろ向きにしていれば良いそうよ。
瞳子姉さんが言っていたわ」
「ちょっ、玲名ちゃん!?
昨日の夜にそれ教えて欲しかったよぉ!!」


■春めく意訳(奥野)
「もう桜が見頃ですね」
「本当、最近の雨で散らなくて良かった。ここの桜の木は大きくて見栄え良いもんね。
雨も必要だけどあんまり激しいのはこの時期遠慮して欲しい…」
「そうですね。新入生を迎えるまでは、どうか咲き続けてくれますよう…といったところでしょうか」
「うんうん。入学式と桜ってセット感あるもんね〜!あ、卒業式もかな」
「3月終盤と4月初めですから時期的にはそうですね」
「丘野さん上手く高等部でやれてるかなー。
…そうだ、ねぇ聞いて奥野君!
卒業式の日に珍しく丘野さんと花咲さんが『桜が奇麗だな』とか言ってきて…今まで2人から花の話題とか出た事なかったよね!?」
「確かに聞いた事ないですね…」
「私 心配しちゃった。そんなメンタルやられてるのかなって…。
今度皆で遊びに行った方が良いかな?」
「名字さん、それ多分言葉通りの意味ではないと思いますよ。
意訳というやつですね」
「意訳〜?『月が綺麗ですね』の派生版って事かな?」
「はい。恐らくは…」
「ふぅん…月が綺麗ですねは流石に有名だから知ってるけど、桜が綺麗ですね…。
うぅん聞いた事ないなぁ。奥野君は何て訳すのか知ってる?」
「『またここで逢おう』だったかと思います」
「ソレ知ってるー!少年漫画で2年くらい未来に飛ぶヤツだ…!
でも何だかちょっとじんときたかも…怒られてばっかりだったけど、私もまた顔が見たい後輩でいられたのかな」
「きっとそうですよ。名字さんは一生懸命付いてきてくれていたから、殊更に可愛い後輩だったのかと」
「えっ、そ、そうかなぁ〜。それはそれで何か恥ずかしいな…」
「…」
「? 奥野君、どうかした?」
「いいえ。何でも…。ところで名字さん」
「うん」
「『星が綺麗ですね』」
「星とな?(え?今 昼だよね…じゃあまた意訳『綺麗ですねシリーズ』?)
−−−…えっと、本当の意味知らなくてごめんなさいなんだけど…。
奥野君が言うなら…うん、きっと綺麗だね!」
「ふふ…ありがとうございます。今はそれで充分です」
「(か、帰って調べよう…!)」


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