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8月拍手(幽谷、鬼道、坂野上、水神矢)

■お盆の準備(幽谷)

「(えーと、買わないといけない果物は…)
…あっ!?幽谷君だ!」
「…名字さん」
「スーパーで会うなんて意外や意外。幽谷君もおつかい?
(カゴに茄子と胡瓜入ってる…)…浅漬けとか?」
「浅漬け…?
 …何を想像しているのか知りませんが…盂蘭盆会(うらぼんえ)に使う精霊馬と精霊牛用、です」
「うら…?しょうりょう…??」
「盆と、茄子と胡瓜の飾りの事です。
君だってどこかで見た事くらいはあるでしょう」
「はっ、もしかしてあの割りばし刺した…!?アレ馬と牛だったの!?」
「今まで何だと思って見てたんですか…」
「いや、何かこう…儀式的な物かなとしか」
「まあ…外してはいないですが」
「でしょ!」
「(当たってもいないんですけど)」
「…でも幽谷君、胡瓜の方は良いとして茄子はそんな細いのじゃ駄目だよ!
長茄子じゃ痩せこけた牛になっちゃう、米茄子とかの方がふっくらしていて良いんじゃない?」
「…別に、そこはどんな種類でも構わないんじゃないですか」
「何で?帰ってきたご先祖様に牛肉を振舞うんじゃ?」
「動物性の食品は供えないですから」
「あっそうか。殺生は駄目ってヤツね」
「はぁ…名字さん、習わしに疎すぎるのでは」
「えへっゴメンね、興味なさ過ぎて今まで気にならなかった!
でも何で馬と牛なんだろう、とか、ちょっと面白そうって思ったよ。
ねぇねぇ、他にももっと教えてよ幽谷君ー!」
「…。…仕方ありません。同じ部活のよしみです、買い物終わるまでなら」
「わーい、ありがとう!さすが部長!」


■追い込み(鬼道)
「あー…何かもう宿題やるの飽きた…頭疲れた…」
「いやいや、まださっき始めたばっかりだよ円堂君….
ってまだ1ページも進んでない!? 」
「だってさー…」
「だって…?」
「だってさ!折角練習に来てるのに提出課題の時間とか!メンバー揃ってるのに勿体ないだろー!?」
「夏休みの課題をやらないメンバーの為に、鬼道君やら豪炎寺君やら夏未ちゃんやら出来る人が残ってるんだよー!
根性で終わらせて、早く皆を帰してあげてー!!」



「うーん…(どうすれば良いんだろう…)」
「名前」
「あ、鬼道君…」
「円堂を焚き付けるのも大変だな」
「(聞かれてた…!恥っずかしい!!まぁそうだよね叫んでたし…!)
あ、はは…いやぁ、あまりにも効果がなくて困ったなぁって…」
「お前は優しいからな」
「優しいっていうか、甘いのかなぁ…。
でもテストは定期でも課題でも平均点以上取らないと部活出来ないし」
「そこはヤツが頑張るしかないな。ところで…お前自身は大丈夫なのか?」
「ううん…実は油断してたら点数危なそう。
うっ…休み明け考えたら頭が痛くなってきた…」
「なるほどな。分かった、ではここからは交代だ。
俺が円堂の課題を見る」
「えっ、でも…他の皆は大丈夫?」
「あぁ、粗方は終わった」
「早…!?」
「ふ、悠長な教え方はしていないからな」
「わぁ…スパルタなんだね…」
「伊達に帝国の主席は取っていないと言った所だな。
名前は休憩なり自習なりしておくといい」
「えっ本当?いいのかな…」
「気にするな。キャプテンの尻を叩くのがマネージャーの仕事じゃないだろう」
「いや、でもせめて手伝いとか…あ、そうだ。
もうちょっとしたら休憩用の飲み物とか軽食は持っていくね。
これで少しは役に立てるかな?」
「あぁ、それは助かるな。
課題をやり切る前に円堂に倒れられても困るからな」
「倒…?!」
「丁度良い息抜きになるだろう。…すまない名前、宜しく頼む」
「う、うん…任せて!(円堂君…南無三…)」
「円堂が終わったらお前の分も見た方が良いか?」
「き、気持ちだけで大丈夫…!」
「ふ、それは残念だ」
「もー!鬼道君 私の反応見て遊んでるでしょ!」
「どうかな?…じゃあ、そっちは任せたぞ」


■プール掃除(坂野上)
「名前ーっ、部活お疲れ様!今日はもう部活終わり?」
「昇。そう、今日はもう終わり。
大会が近いから調整だったの。昇はまだもう少し勧誘に残るの?
良かったらビラ配りくらいは手伝うよ。」
「へへー、実はメンバー集まったんだ!」
「へぇ!良かったじゃん」
「ありがとー!名前が手伝ってくれたおかげだよ!」
「役に立てたなら良かったけどね。じゃあ、今から早速練習?
…でも、ジャージなんだね」
「いや、今日は練習じゃないんだ。プール掃除!
代わりにやったらグラウンドの場所ちょっと空けてくれるって!」
「えぇ…?何かソレおかしくない?
グラウンド整備ならまだしも、プール掃除からどうやってグラウンド空けるに繋がるの?」
「それは俺にも分からない!!」
「(これは体よく押し付けられたヤツだ…)」
「でも、メンバーが集まったのに場所がなくて練習不足じゃフットボールフロンティアに勝ち抜けないからさ!
ちょっとでも可能性がある事は当たってみる!って、今までと一緒だけど」
「…はぁ。じゃあ私も手伝うよ」
「えっ良いの!?」
「良いよ、その方が早く終わるだろうし。
ピカピカにして相手が予定してた2倍ぐらい場所空けさせてやろー!」
「おぉーっ!名前頼もしい!」
「嘘だったらそいつをプールに沈めよう」
「えっ」
「…」
「…」
「…、…」
「…、…、…」
「…−−−、冗談だって」
「本当に…!?」


■朝顔な君(水神矢)
「…」
「−−−?名字じゃないか、おーい名字!」
「っ!? …水神矢君!おはようー!」
「あぁ、おはよう」
「珍しいね、こんな時間に会うなんて。今日はサッカー部の練習無いの?
遂に夏休みも終わりだし、朝から晩まで練習だと思ってた」
「今日は登校日だからな。汗を流すのは課題提出をきっちり終えた後だ」
「はは、サッカー部の人達は問題なさそうだけどね」
「勿論、そうあるべきなんだけどな。
名字はこんな所で立ち止まってどうしたんだ?
駅の途中…だな?」
「うん。線路の金網に朝顔が絡んでてね、最近この辺りを通る時はちょっと見てる」
「朝顔か、小学生の時に観察日記の題材にしたな。
…本当だ、こんなに広範囲にツルが広がるものなのか。カーテンみたいだな」
「自然のカーテンだね。最初視た時は人の手がなくても綺麗に咲くんだなって驚いて。
後は…」
「?」
「えっと…。その、水神矢君の事を連想するなーって」
「俺か?…、…ん。色、だろうか?この朝顔の色」
「…! そうそう、そうなの!
薄く紫がかった青色…凄く綺麗だなって…!」
「(名字、そんな風に俺を見ているのか…)」
「それに、朝がどんなに暑くてもだれないで咲いてる所とかも 朝練頑張る水神矢君に似てるなって思…、…−−−はっ!!
ご、ごめんっ!ちょっと喋りすぎたね!つい…」
「あ、いや!そんな事は…!」
「時間取ってごめん、私はももうそろそろ行かないと登校時間過ぎちゃうね…!」
「ま、待て名字!」
「は、はいっ!!?」
「その…同じクラスなんだし、一緒に行かないか…?」
「ぁ…そうだね、ここまで話し込んでて一緒に行かないのも逆に変だよね…。
狼狽えちゃってごめんなさい…(席に着くまで恥ずかしさで気まずいな…)」
「謝る事なんてないんだ。俺が名字と一緒に行きたいだけだから」
「…うん、ありがとう(フォローしてくれてる、優しいな…)」
「クラスに行くまでの間、名字の話をもっと聞かせてくれないか?」
「えっ…、あの、あんまり面白い話は引き出しが…」
「いや、その…面白い話も捨てがたいんだが。
俺の話を聞かせてくれると、名字の見えている俺が知れて嬉しいというか…、
それに俺も名字の事を話したいんだ」
「!」
「…良いか?」
「う、うん…!」
「良かった!じゃあ遅れない程度にゆっくり歩いて沢山話そう」

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