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9月拍手(鬼道、秋、谷崎)

■登校日(鬼道)

「(うわぁあ…これは電車乗り遅れそう…!1限目までに間に合うかな!?)」
「ーーー…名字?」
「っ鬼道君?凄いリムジンが信号待ちしてるなーって思ったら…!おはよう!」
「おはよう、珍しい所で会うな。こんな時間にこの辺りにいて学校間に合うのか?」
「あはは…、寝坊しちゃって。朝練あったら確実に遅刻してる時間です…」
「雷門ならまだしも、お前は星章だと遠いからな」
「いや、完全に夏休みの後遺症だね…体も怠いし。早く戻さなきゃ〜」
「難しいんじゃないか?9月は祝日も多いから感覚が狂うだろうしな」
「いきなりネガティブな意見ぶつけてくるね!?」
「ふ、冗談だ。そんなものは意識さえすれば何とでもなる。
 …それより、今は遅刻を回避する方が先決じゃないのか?」
「うぅ、ソウデスネ…部活で鍛えた走力で頑張って走る…!」
「…一緒に乗って行くか?」
「えっ」
「最初から頼ってきたら放っておこうと思ったが、
 自力で何とかする気だったようだしな。
 …袴田、開けてやってくれ」
「えっ、でも…良いの?」
「…ーーー嫌じゃなければ、だが」
「うわ〜〜ありがとう…!また何かお礼するからね!」
「気にするな。たまに話し相手がいるのも気分が変わって良いからな」




■秋桜(秋)

「ほら秋ちゃん、見て!言った通り、コスモス咲いてるでしょ〜」
「本当、もう咲いてるのね。私もっと遅いと思ってた」
「早めに植えたのかな?通学路の花壇っていつも綺麗だよねー
 この間のも良かったけどコスモスは本当、『秋が来た』って感じがする」
「…名前ちゃんて、そういう所ちゃんと見ていて凄いね。
 私、前に何が植えられてたかあんまり覚えてないかも…」
「いやぁ…、色くらいで私も名前までは知らないし、凄いって言われる程でもないかも…」
「なぁんだ、そうなの?私てっきり全部のお花 知ってるって思ってた…残念」
「えー…、何かゴメン…」
「ふふっ嘘、嘘!色を覚えているだけでもよく見てる思うな」
「もー、秋ちゃん!」
「ゴメンね名前ちゃん。…でも、気に留めてくれる名前ちゃんみたいな子がいると
 植えてる人は嬉しいよ きっと」
「んー…、そうかなぁ?ちらっと見てるだけなのに?」
「うん。私もやる事ばっかりに追われがちだから、
 名前ちゃんを見習わないとね!」



■残暑と長髪(谷崎)


「…名字、その髪」
「あっ、おはよう谷崎君。うん、あの…切っちゃった。似合うかな…?」
「似合わなくはないけど。あんなに長かったのに思い切った事したなって」
「うん、いつも切ってくれる美容師さんに
 『ヘアドネーションしたら喜ばれるよ』って言われて…。長いしヴァージンヘアだったから」
「(押し切られたのか…君は勧められると断れない性格だからな…)
 …ヘアドネーションって何だっけ」
「あ、髪の毛の寄付だって。
 病気とかで髪にコンプレックスのある人に作る、ウィッグの材料になるらしいの」
「へぇ…」
「何か…人の為になれると、ちょっと嬉しいね」
「そうだね。…僕もしようかな、その髪の寄付。まだまだ暑いし短くしたら涼しくなるかも」
「えっ」
「だって長いし、生まれつきこの色だよ?
 さっき、ヴァージンヘアって言ってたのはそう言う事だろう?」
「う、うん…そうなんだけど」
「?…だけど?」
「谷崎君の髪ってふわふわで綺麗で好きだから、ちょっと寂しいなって」
「…!それは…」
「うん?」
「それは、狡い。僕だって名字の髪好きだったのに…何にも言わずに切っておいて」
「えっ!?そ、れはまた…、…えっと…ご、ゴメンね…?」
「謝らなくても良いよ、困ってる人に良い事した訳だし。
 僕も勝手な事言ってるの分かってるから」
「うん…」
「でも今度、また伸ばしてくれたら嬉しいってだけ」
「谷崎君…。うん、また伸ばすね」
「そう。じゃあ僕もまだ暫く切らないでおこうかな」



「…なぁアイツらあれで付き合ってないって正気か?」
「そうなんじゃないのー?はー、暑い暑い、どこもかしこも残暑が厳しいねぇ…」


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