2016/06/03
皆さんは、東京喰種の石田スイ先生が描いた、全69ページのヒソカの過去編のスピンオフ漫画をご存知でしょうか?
昨日、石田スイ先生が描いたヒソカ過去編のネームと冨樫先生との対談が公開されたとの告知がありまして、寝耳に水でめっちゃビックリしたんですけど、どんな話を描いたのか、そして、それに冨樫先生がどんな反応をされたのか、気になって気になって気になって……最初は、冨樫センセ以外の方が描いたヒソカ過去編なんて、そんなパチモン、誰が読むか!!みたいな感じになっていたんですけれど、意を決して読んでみました。
その感想ですけど、一言で言うと……「やばい、素晴らしすぎか……」ってな感じで布団の中で小一時間悶えまくったんで、今回はその感想を長々と語って行きたいと思います!
まず、始まりはこの告知ツイート
即座にサイトに飛んで(
ジャンプ+内対談ページ)、@ヒソカのミステリアスさは一切損なわずに描いている点、A冨樫センセも賞賛している点、を確認しまして。それから、恐る恐る読んでみました。
……読んだ感想は、前述しましたけど、もう、本当に素晴らしかった!!!この一言に尽きますね。
何が素晴らしかったかって言うと、私、もともと東京喰種好きなんですよ。
東京喰種と言うか、石田先生が、ですね。石田先生がヤンジャンで東京喰種を連載し始めた頃、その画力の高さに驚かされたんです。……いや、正直言うと、初期の頃はまだ荒さが残っていましたが、漫画の構図だとかコマ割りだとか、キャラクターの演出の仕方とかが抜きん出ていて、これが初連載作品なのか!?と度肝を抜かれました。特に金木君が捕まって拷問されて壊れてゆく辺り、読んでいて背中がゾクゾクしていました。拷問された精神が壊れる展開なんて古今東西ありふれていましたけれど、展開よりもなりより、漫画の表現や演出の仕方が秀逸で、目が釘付けになりました。
余談ですけど、6年くらい前から書いているハンター二次創作長編小説で(ありていに言えば夢小説ですけど)、夢主の精神が壊れてゆく展開を書いたんですけど、あれ、金木君の精神が壊れてゆくあのシーンに影響された部分が少なからずありますね。ああいった闇落ち展開好きですし。ちょうどその小説書いていた頃、ヤンジャンで東京喰種の闇落ち辺りが掲載されていましたし。
まあ、そんなこんなで、好きな漫画家の一人のスピンオフということで、心惹かれるものがあったんですけど。それはそれ。これはこれ。原作者として石田先生は好きですけど、原作がある作品のスピンオフ作品――言い方を変えれば同人作品を描くとなると、話は別です。冨樫センセ以外の方が、キャラクターの過去に味付けを施すなんて……しかもそれがミステリアスさが魅力なヒソカとくればなおさらです!
ヒソカのミステリアスさを損なう作品だったらどうしよう……ってむっちゃ悩みました。でも、全ては杞憂でした。
お二方は対談で、
石田先生)ボツにしたネームでは、ヒソカが裕福な家庭の子供だったりとか、逆に貧しかったとか、育った環境に踏み込んで描いたものもあったんですけど、それがすごく違和感があって。ヒソカは過去を語らないキャラクターなんで、そういうのが匂ってしまうと、途端にヒソカじゃなくなる感じがしました。
冨樫先生)そうなんですよね。過去を掘り下げるのって難しいんです。どんな物語を用意しても、読者の想像を越えるものにならないっていうか。むしろはっきりするよりも、分からない部分がある方が魅力になると思うんですよ。今回の石田さんの漫画の冒頭も、「なんでヒソカが倒れているんだろう」って考えるのが楽しいんですよね。こんな風にヒソカを描いてくれて、本当に嬉しいです。
と、語っていて。石田先生は今回のお話で、ヒソカのミステリアスさを残す形で描いていると知って、これが後押しとなって、読みました。
*
さて、読むまでの状況を長々と書いてしまいましたが、本題の感想です!
最初にお伝えしておきますが、今回のヒソカ感想は、冨樫センセ認めた石田先生作品への感想というよりも、ハンターハンターで同人小説を書いている人間から見た同人的な色合いが強い感想です。ネタバレがお嫌な方や、そういった目線での感想、夢小説・夢語り等々が苦手な方はブラウザバック願いますね。
ではでは、ネームを読んだ感想をつらつらと語ってまいります〜( ´ ▽ ` )ノ
はい、物語の始まりは、道端に転がる虫の息の少年を数人の大人が心配そうに(半ば迷惑そうに)囲んで名前を尋ねる、ってところから始まるんですけど。対談で冨樫センセが仰ってたように、何があって少年ヒソカがそんな状況になったのか、めちゃくちゃ妄想を掻き立てられて、最初の1ページ目からぐっと物語に惹かれましたね。
しかも、次のページでヒソカが名前を答えると同時に、ハンター世界にあるとある国の説明が始まって、物語の展開にドキドキしました。舞台は、ヨルビアン大陸にある、ショービジネスが一大産業となっているとある国(都市)で、石田先生はその国の歴史を始まりの数コマでさらっと説明しているんですけど、その説明があるために、ハンター世界の世界観に深みが出ていて、やはり、プロの方が描かれると出だしの数ページだけでも世界観の構築やや物語の舞台設定状況説明の魅せ方が半端なくて、読者をぐいぐい惹きつけるなって思いましたね。
対談で冨樫センセは、
冨樫先生) 「HUNTER×HUNTER」はある程度、どんな世界観にもできるようにはなっているので、自由に設定を作ってもらって全然かまわないんですけどね。
と仰ってたんですけど、私もハンターで色々と妄想するとき、ハンター世界だったらこんな国がありそうだな、とか、ハンター世界の人々はプロハンターに対してこんな感情を持っているだろうな、だとか、ハンター世界の人々はこんな暮らしぶりだろうな、とか考えるのが好きだったので、冨樫センセのお言葉に首がちぎれんほど頷くと同時に、石田先生の作り上げたある国が、まるで冨樫センセの作られたハンター世界内に実在していそうな、そんな物語の始まりに舌を巻くと同時に、物語に引き込まれました。
もう、冨樫センセ以外の方が描いたスピンオフ作品に対する苦手意識は、この数ページだけで吹っ飛びましたね。
……で、次のページで登場するのは、少年ヒソカが気怠そうにガムを噛んでいる姿。なんだこれ、可愛すぎか!?
そこから先は、ヒソカが拾われたサーカス団の公演の様子と、そこで過ごしているヒソカの日常をさらりと描写。
最後まで読んだ方は最後のネタバレで分かると思うんですけど、この時点からとある人物の謎に関する伏線が入れ込んであるんですよね。石田先生凄いな。……と言うか、プロの伏線の入れ込みと回収の仕方、素晴らしすぎです!!!
物語の話の筋としては、サーカス団に拾われたヒソカの様子を描くと同時に、人々を圧死させてヨルビアンを騒がしている連続殺人鬼「百面ジョン・ドゥ」の話とが絡み合って展開されてゆく流れなんですけど、少年ヒソカの描写に胸を撃ち抜かれながら、犯人の謎解きとバトルとヒソカの格好よさとを一緒に楽しめる、いろんな角度から見て楽しめる作品となっていました。
個人的な萌えな部分としては……
あ、ここから先は、それぞれのページや展開のネタバレ込みの感想なんで、読んでいない人は漫画を読んでから、この先を読まれることをお勧めします。
で、萌えな部分ですけど。サーカス団に拾われたは良いが厄介ごとを背負い込むなとヒソカを拾った団長さんに詰め寄る団員さんたちに(団長と団員表記だと旅団と混じってしまうのでさん付けw)、ヒソカが「さっきのすごかったね◆」と話しかける時の、胡散臭そうな笑顔と、手品を教えられた時の「選んだカードはこれかな?」っていう時の鋭い顔、そして、トランプタワーを壊した後に、拾ったネジを唇に当てるヒソカの悦に入った顔。この落差が、いかにもヒソカって感じでたまらないですね。
この時のヒソカは何歳なんでしょうかね?14才?15才?
この時点でもう、語尾にトランプマークを付けていたり、イっちゃった目で笑ったりと、今のヒソカの原型が出来上がっていて、余計に、このヒソカになる前(倒れた姿が見つかる前)はどんなだったのだろうと、妄想が掻き立てられてましたね。
ミステリアスさを残した形で、ヒソカの過去を良い具合に描いてくれて、もう、ヒソカファンとしては、たまりません!!
この後、王道といえば王道ですけど、団員さんの一人が怪我で公演に出れなくなり、ヒソカが立候補してその人の代わりに舞台に立つって流れなんですけど、この時、メイクブラシを顔に当てて星と涙のマークを頬に入れていくヒソカの姿に胸がずっきゅん、です。可愛いなぁ……いや、可愛いじゃない、格好良い//// いや、もう、どっちも混じってるよ、なにこの感情!!少年ヒソカが髪を掻きながら頬にメイクブラシ当ててるとか、このコマひとつだけで、テンション天元突破!!w
あー、あのメイクはこれがきっかけって事なんですね、なるほど、石田先生、グッジョブです、素晴らしいです、めちゃくちゃテンションあがります。
それでですね、公演中、練習を積んでもいないのに、卒なくジャグリングをこなしてゆくヒソカに、ペアの人間が意地悪で新技をぶつけるんですけど、それすらもヒソカは反射神経だけで楽々受け止めてしまうんですよね。これはたぶん、ハンター試験で四刀流の試験官の武器を楽々受け止めたところからきているんだと思うんですけど、こういった所に原作のネタを入れている所に、石田先生の冨樫センセへのリスペクトを感じますよね。あと、団長さんは昔プロハンターを目指してハンター試験を受けたんですけど、その年は圧倒的な才能を誇るただ一人の人間のみが合格したらしいんですね。その一人が誰かってのは明確には描かれていないんですけど、その後ろ姿はジンの後ろ姿に違いなくて。本当、至る所に石田先生の冨樫センセへのリスペクトが小ネタとして現れていて、その熱量に読んでいてめちゃくちゃ楽しかったですし、心躍りました!!
それで、その後は、団長さんの奥義の「奇術」に普通の人では到達できない「何か=念」が絡んでいると悟ったヒソカが、団長さんから念の手ほどきを受ける展開となります。
「ヒソカはどう?纏の修行はうまくいきそう?」
かーらーのー!
「もう、覚えたよ」
の展開は、ゴンキルアたちが難なく覚えた念なのでヒソカクラスとなれば簡単に覚えられるのは当たり前ですけど、この「もう覚えたよ」のセリフとコマに「うおぉぉぉぉ、ヒソカぁぁぁ///////」ってなりました。なんだよ、ヒソカ、このミステリアスさ、格好良すぎか!?いや、少年ヒソカだから可愛すぎか!?になるのか、いや、もう、どっちか分かんないよ、うおぉぉぉぉお、ヒソカぁぁぁぁぁ!!!!
あと、ヒソカは水見式で「酸味」に変化する変化系ってことになるんですけど、個人的にヒソカは甘酸っぱいとか、甘苦いとか、一言では形容できないような味に変化していそうな気がしましたね。あ、この時はたまたま(気分的に)酸っぱくなっただけで、気分が変わったら味も変わるってのだったら、良いな……//// なんて、そんな妄想がががががw
個人的に、ヒソカに念の師匠がいたらその人はやっぱり変化系だろうなぁーって前々から思っていたので、今回石田先生の描かれた師匠も変化系(しかもかなりイッてる)方だったんで、なんだか嬉しくなっちゃいました。やっぱりヒソカという人間に影響を与えた人間となると、ヒソカと同じかそれ以上にイッてる人間であろうという結論は、至極当たり前な結論なのかもしれませんね。
そんなこんなで物語は進みまして、序盤で話だけ出た連続殺人犯「ジョン・ドゥ」が突然女性団員さんを襲い、それをヒソカが助けるんですけど、その時、ヒソカはもう、トランプで相手を撃退するんですね。飄々と現れたヒソカと「散歩かい?楽しそうだね」のセリフも色香溢れるもので、ズキューンですね。石田先生の描かれるヒソカは、何というか、目の鋭さを持ちながらも飄々としている表情が、いかにもヒソカって感じがしていて、めちゃくちゃ好みです。例えるなら、ヨークシン編に入る前のヒソカのシャワーシーンの「そろそろ狩るか◆」の表情に通じるものが、全てのコマのヒソカに現れている。そんな感じです。
あとですね、個人的に超ツボだったのは、ヒソカの入浴シーンですね。お風呂に入っているヒソカが、発(バンジーガム)の訓練で?お風呂の水をスライム状にして遊んでいるんですけど、もうね、このシーン見た時に、「うわっ!やられた!ヒソカの能力を考えたら、ガムとゴムの粘度に至る過程でこういったスライム状態を作り出してもおかしくないじゃないか!!なんで今まで気づかなかったんだ!!こんなエロアイテムを見逃すとは……!」ってなりましたねw
いやぁ、バンジーガムを使った(エロ)拘束ってのは誰でも思いつくもので、実際ありふれていますけどね。もし、ヒソカにこんなスライム状のものを作り出していた過去があるとしたら、そりゃあ、その能力を使ってあんなことやこんなことや、あまつさえそんなことまで出来るわけじゃないですか……!!!ちょっと、少年ヒソカくん、そんな危険なものを嬉々として作り出しちゃって良いんですか!?!?これからのエロ同人誌が大変なことになっちゃいますよ!?!?
……ってなことを一人で突っ込んでおりました(笑)
でもですね、たぶん、ここには石田先生の、ヒソカとバンジーガムという念への深い考察が含まれているんだと思うんですよね。私みたいな、邪な考えは一切なく。あの能力をヒソカがどうやって身につけたか。どうやって開発したか。そういったものを深く考えて読み解いていった結果のあのコマの描写なのだと思います。こういった所にも、石田先生のこだわりとハンター愛が垣間見えているのだと、私は思いました。
そして、この後の展開は、これは「百面ジョン・ドゥ」とヒソカのバトルです。
最初にも書きましたが、ジョン・ドゥの伏線は漫画の始めの方にも中盤にも伏線が散りばめられていて、ああ、なるほど!あの描写はそういった意味だったのか!と膝を叩きながら読み進めました。
オリジナルの念能力ってのは、ハンターハンターに若い時分にハマった人間ならば、一度くらいは考えたことがあるかと思うんですけど、石田先生の考えた念能力は、ネーミングセンスといい能力といいセンスが光っていて、「うおぉぉ、格好良いなー!」とか「このネーミング、すごいハンターっぽい!」とか思いながら読んでました。
ヒソカの、「人を驚かせるのが好きなんだろ? ボクを驚かせて見せてよ◆」のセリフからの、戦闘狂の姿が垣間見える笑いながらの戦闘シーンなどなど、バトルシーンも見所たっぷりで、このバトルに至るまでに萌え転げたり感心したりとしておりましたが、ヒソカの相手の念を見破って自分の念を叩き込む展開は萌えるだけなく燃えましたね。やっぱり、ヒソカは頭良いですよねー。相手の嘘や策略を見破って、それを上回る戦略で叩き潰す感じ。めちゃくちゃ格好良かったです。いやぁー、ヒソカって感じが、冒頭から最後まで、たっぷりと詰め込んであって、ヒソカファンにはたまらない作品でした。
そして、バトルの後の、ヒソカの行動。
〈事切れた彼へ、ヒソカがとった行動は、ほんの気まぐれに過ぎなかった〉
「タネも仕掛けもないただのハンカチを……」
の部分。もうね、叫びそうになったよ、なんだよ、ヒソカ、格好良すぎじゃない!?なにその去り際の行動!!素敵すぎか!!!
そして、最後の振り返りながらのワンショット。
ヒソカの格好良さがギュギュッと詰まってて、もう、めちゃくちゃテンション上がりました。これこそ、ヒソカだよ、こんな行動を気まぐれでやっちゃうところがヒソカなんだよ、なんだよ、めちゃくちゃヒソカじゃん、冨樫センセ以外の人が描いたヒソカ過去編なんて受け付けないとか言ってたのどの口だよ、ンなことなかったよ、めちゃくちゃヒソカだったよ、しかも、ヒソカ愛とハンター愛がこれでもかって溢れているよ、最高じゃないか、このスピンオフ作品!!!!
ってな感じになりましたね。
いやぁー、冒頭でも言ってましたが、めちゃくちゃ良かったです。このスピンオフ作品。
読んだ後2時間くらいは布団の中で読了後の余韻に浸ってました。すっごい良かったです。
なんか、もう、「良かった」と「ヒソカ格好良い」しか言ってないですけど。徹頭徹尾ヒソカの魅力について描かれていて。しかも、話に起承転結があり物語としても完成度が高く。やっぱり、プロの描いた作品はレベルが違うな……と、関心の溜息しか出ませんでした。
一応、かろうじて重大なネタバレは伏せた形での感想となってますので、もし、未読の方がいらっしゃったら、ぜひご一読ください。めちゃくちゃ良いので!!!!
はい、ということで、以上がヒソカへの萌えが高まっての書き散らした感想でした。
いやぁー、本当、良かった。こんだけの分量を嬉々として書いてしまうくらい良かった……。いやぁー、良かった……(噛み締め)
そんなこんなで、石田先生の描いたヒソカスピンオフへの感想でした!!
あーる
PS ちょっと夢語りですけど、ヒソカと一番絡みがあった団員さんが若い女の子だったんで、この女の子が夢主って扱いで団長さんがオリキャラって扱いだったら、この話は、夢界隈でなら夢漫画って扱いになるんだろうなぁーってちょっとだけ思いましたw 夢漫画は数が少ないですけど、夢小説でしたら数え切れないほどあって、その中には恋愛色の全くないものもあるので、中にはこういったヒソカの過去をテーマにした硬派な小説もあるんじゃないかと、夢界隈に長年いる身としては思いましたね。なかなかお目にかかれないですけど!