部活で疲れて怠い体で制服に着替えていると、ウザいぐらいテンションの高い黄瀬ちんが俺に話しかけて来た。どうでもいい内容だったら無視するつもりだったんだけど、なまえっちのことっス!の一言で俺は黄瀬ちんへ視線を寄越した。


「ズバリ!紫原っちはなまえっちとどこまでいったんすか!?」
「黄瀬ちんまじキモいんだけど死んでー」
「いつになく辛辣ぅ!」


うっうっと嘘泣きをする黄瀬ちんをスルーして着替えを続行する。やっぱりどうでもいい内容だった。なんでそんなこと話さなきゃいけないのか意味が分からないし、どこまでいった?と聞かれて素直に教えるわけないじゃん。
なのに、それに悪ノリして峰ちんまで俺の方へ身を乗り出し、どうなんだよとか聞いてくるもんだから面倒くさい。中学生男子という思春期の時期にそういう話題はやっぱり気になるのか、下世話な質問ばかりしてくる。つーか、峰ちんパンツのままこっち来んなし。


「ほらぁ。皆やっぱり気になってるんスよ」
「俺らん中で彼女いんのお前だけだしさ、気になるだろ?そういうの」
「知んねーし。何で話さなきゃなんねーの?つーか、黄瀬ちん彼女いんじゃん」
「あ、もう別れたっス。てかあれ彼女じゃないっスよ!」
「黄瀬君早くないですか。まだ一週間でしょう?」
「だから違うくて!付きまとわれてただけなんス!」


全然構わなかったらいつのまにか付きまとわなくなったんスけどね〜なんてヘラヘラ笑う黄瀬ちんに内心ドン引きながら、着替えを再開する。なまえちん、待ってるだろうし。話の流れが変わったことに少しホッとしつつ、まいう棒の袋をゴミ箱に投げ捨てた。


「って、オレの話はどうでもいいんスよ!紫原っちの話でしょ」
「何で話戻すのかなー黄瀬ちん空気読めし」
「なまえっち純粋だし、そういうの慣れてなさそうだから気になるじゃないっスか」
「気にならなくていいから。もうなまえちん待ってるから帰るねー」
「ええええそれは無いっスよ〜」


後ろで未だぎゃんぎゃん吠える黄瀬ちんにイライラしつつ、扉を開けるとなまえちんが扉の前に立っててびっくりした。

どうしたの?と首を傾げると、待ってられなくて来ちゃった、なんてはにかみながら可愛いこと言うから後ろに部員が居るのも構わずその場でぎゅーぎゅー抱き締めた。こういうのを癒されるって言うんだろうなぁ。マイナスイオンとか出てるんじゃないだろうか。



「ラブラブっスね!」
「そうですね。早く出て行って欲しいです」
「黒子、顔がやばいのだよ…」
「あ、あっ、敦くん!みん皆見てるからっ」
「えー、別にいんじゃない?それになんか気になってたみたいだし、」
「え?それどういう、んむっ」


首を傾げたなまえちんにそのまま口付けた。流し目でちらりと先ほどまで吠えていた黄瀬ちんの方を見れば真っ赤になってきゃーなんて口元を押さえている。女子かよ。

トントンと弱い力で俺の胸板を叩いたなまえちんに名残惜しく最後に可愛いそのピンク色の唇を一舐めして離すとはぁと小さく息を整えるように俺の方へ持たれかかった。何回やっても慣れないね。まあ、そこも可愛いんだけど。


しん、と静まり返った部室に顔を向けて、これでもういいよね?と笑えば、ぶんぶんと頭を縦に振る者が数名。もうしつこく聞かれることもないだろう。


「敦くんのバカーーー!!!!」
「え、ちょっ待ってよなまえちん!そんな怒んないで」

「敦は明日練習メニュー倍だな」
「ご愁傷様です紫原君」



真っ赤になって出てったなまえちんを追いかける後ろでそんな会話がされてるなんて知るゆえもなく、次の日から黄瀬ちんに峰ちんにプラスして黒ちんまで質問攻めしてくるようになったわけだけど。



140826


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