「おい総司。またアイツに何かしたのかよ」
「んー?何のこと?」
「あんまりいじめてっと嫌われんぞ」
「あはは。それは嫌だなぁ」


だってなまえちゃんの反応すっごく可愛いんだもん。つい意地悪したくなっちゃうんだから仕方ないよね。ほら、よく言うじゃない。好きな子ほど意地悪したくなるって。解らないかな平助には。
こないだのデートでも、わざと人混みではぐれたら目に涙をいっぱい溜めて必死で僕を探す姿はもう可愛くてたまらなかった。


それにこれは嫌いだからとかじゃなくて、一種の愛情表現、かな。さっきも言ったように好きだからこそ意地悪してるわけで。
あー、なんだかなまえちゃんに会いたくなってきた。


「総司君」
「えっ」
「えっ?」


会いたいって思ってたらなまえちゃんが来たもんだからちょっと驚いた。柄にもなく運命みたいなのを感じたっていうか。

首を傾げてるなまえちゃんを座ったまま抱き寄せて「僕もなまえちゃんに会いに行こうって思ってたとこ」と囁けば、真っ赤になって固まる姿も愛らしい。ぎゅうぎゅう抱き締めると頭を優しく撫でられて、そのまま目を閉じればクスクスと笑い声が頭上から聞こえた。


「どうしたの?」
「総司君なんだか猫みたい」
「猫?」
「うん。甘えん坊の猫。可愛い」
「可愛いなんて言われても嬉しくないよ」
「だって可愛かったんだもの」


君の方がよっぽど可愛いのに。そう言えばまた君は真っ赤になるんだろうね。「あ、そういえば何か用事があったんじゃないの?」と聞けばなまえちゃんはにこにこと話し始めた。


「駅前にね、新しいケーキバイキングのお店ができたの!」
「……へぇ」
「総司君甘いもの好きでしょ?」
「うん。好きだよ」
「だから、その……」


なるほど、一緒に行こうって誘いに来てくれたってわけか。「だから、えっと、」なんてそわそわしてるなまえちゃんを見てるのは面白いからもうちょっと待ってようかな。いつもならここで僕から「一緒に行こうか」と言うんだけど、なまえちゃんから誘われるのもいいかもしれない。



「………」
「……だから」
「ん?」
「総司君甘いもの好きだから…私も好き、だし」
「うん。そうだね」
「………」
「………」
「………」
「……」


顔を両手で覆いながら「だから、…総司君と一緒に行きたいの」と恥ずかしそうに言ったなまえちゃん。あー、可愛い可愛い!思わず口角が上がった。


「何笑ってるの!」
「ごめんごめん。怒らないで?」
「総司君いじわる」
「好きだからだよ」
「意味分かんないぃぃ」


ぷんぷん怒ってる姿も可愛くて、僕も相当重症だなぁと考えながらなまえちゃんに軽く触れるだけのキスをした。当然彼女は頬を林檎みたいに真っ赤にしてわなわなと震えていた。


「こ、こここきょ教室…!」
「いいじゃない。見せつけちゃおうよ」
「何言ってるのばか!」
「ね、機嫌直してくれた?」
「…………も、もう一回してくれたら…許す」


反則だよなまえちゃん。いつの間にそんな言葉覚えたの。今度は僕が赤くなる番で。本当適わないななまえちゃんには。そんな可愛い顔を見せるのは僕だけにしてよね。照れてるのか、俯いていたなまえちゃんの顎を持ち上げて深く口付ける。教室?関係ないね。煽った君が悪いんだよ?




リクエスト:一途な彼女が可愛すぎて意地悪しちゃう沖田さんに溺愛される話

溺愛できてたのかな、(笑)楽しく書かせていただきました。リクエストありがとうございました。


title by:√A

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