「あーもうだめ。黒子くんが格好良すぎて私今なら死ねる」

「あれのどこが…」

「わ、シュート!シュートキメたよ!きゃー!!」

「あー、こりゃもう駄目だな」


はあ、と隣で溜め息を吐くかがみんには悪いけど、今は黒子くんしか目に入らないの!ああ、汗拭いてる黒子くんイケメンすぎる。騒いでごめんなさいバスケ部の皆さん。小声で叫んでるので許してください。


「さっきから視線うざいです。やめてください」

「だってね、黒子くんが格好良いんですよ」

「気持ち悪いですその顔」


蔑み顔ありがとうございます。最近は黒子くんのツンにも慣れました。忍耐力ってつくものなんですね神様。こんな機会滅多にない。写真に収めねばと携帯を取り出すと全力で嫌がられた。後でこっそり撮ろうと思う。


「えーっと?黒子の彼女、で合ってんのかな?」

「あ、はい!そうです。すみません。練習の邪魔はしないので!」

「いや、すでに結構な雰囲気放ってるけど…まあいいや。黒子が彼女連れてくるなんて珍しいし」

「無理矢理ついて来たんですけどね」


私の隣にすとんと腰を下ろした日向先輩は、練習中の黒子くんはどうとか、かがみんと黒子くんの試合中の息はピッタリだとか、私の知らない黒子くんの話をたくさんしてくれた。
ふと、何だか見られてる様な気がして顔を上げてみると黒子くんと目が合った。黒子君がこっちを見てる…?いや、そんなわけないと軽く首を振って先輩の話に耳を傾けた。それから暫くして先輩はカントクさんに呼ばれ離れて行った。


「………」

「……わ!!びび、びっ、ビックリしたあ!」

「さっきからいましたけど…」

「あ、ごめんね?気づかなくて…」

「別に、慣れてますから…」


な、なんだろう…。不機嫌っぽいというか、怒ってますよねこれ。何でかは分からないけど、とりあえず私が原因なのかな。それすら分からないぞ。


「黒子くん、怒ってます?」

「別に」

めっちゃ怒ってますね。エリカ様になってるもの。どうしよう。どうしよう。怒ってる黒子くんもとても素敵だけど、やっぱり私は照れた可愛い黒子くんが見たいのです。


「さっき先輩と何話してたんですか」

「え?」

「随分楽しそうでしたけど」

「……」

これは、もしかしなくても、ヤキモチってやつですか。なにそれ。それで怒ってたの黒子くん。マジ可愛すぎ!生きてて良かった!!!


「ちょっと、なにニヤニヤしてるんですか」

「ううん。何でもないよ?」

「で、何話してたんですか?」

「えー、秘密〜」

「………」

「ねぇ、黒子くんそれってヤキモチですか〜?」

「なっ…」

からかうようにそう言うと黙り込んでしまった。この状況を楽しもうと思ったのだけど、そろそろ黒子くんのツンが発動しちゃうから、声を掛けようとしたところで腕を掴まれた。

「そうですよ。先輩と何話してるのか気になって、全然練習にも身が入らなかったんです」

「ぅ、ええっ?」

「だから、あまり他の人と話さないでください。僕だって、ヤキモチぐらい焼くんです」

「え、え?なん、て…」

「分かりました?」


コクコクと首を縦に振ると、黒子くんは満足そうに分かればいいんです、とコートの中へ戻って行った。
心臓は異常なほどバクバクいってるし、顔はものすごく熱い。突然のデレとかズルいよ黒子くん!!!



彼氏の黒子くんはツンデレです(ヤキモチ編)

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