いつからだろう。私たちの関係がおかしくなってしまったのは。



腕の包帯を撫でながらそんなことをぼんやりと考えていた。総司と付き合い始めてもう2年。よくこんなに続いているものだと自分でも不思議に思う。

総司とは大学で同じ講習を受けてて、よく話すようになって、自然と好きになっていった。それから総司にダメ元で告白して、付き合うことになって、あの時はすごく嬉しかったんだよなぁ。


最初の頃は極普通の彼氏だったと思う。いや、最初からおかしかったのかもしれない。独占欲が強いのかな、ぐらいだった。でもそれもだんだんとヒドくなって。


「そ、総司……?なに、してるの」
「ん?コレいいでしょ?なまえの綺麗な肌にはこの鎖がぴったりだと思って」
「や、やだ…総司どうしたの?おかしいよ?」
「ほら、なまえはモテるからさ、僕心配なんだよ。それでね、思いついたんだ。なまえを僕しか入れないこの部屋に監禁したらずっと一緒、ね?いい案でしょ?」
「総司落ち着こう?きっと疲れてるんだよ。だから…」
「君は僕だけのものなんだ。僕だけを見ていればいい」
「やだっ…総司!」
「愛してるよなまえ」


後ずさる私に微笑んだ総司を見て私は悟ったのだ。

逃 げ ら れ な い



それからの総司は酷かった。私が逃げようとすれば手をあげて、その度にごめんねごめんねと謝罪する総司に私はどうしたらいいのか分からなかった。今では私に依存しているという言葉がピッタリだと思う。そんな総司をどうしても私は嫌いになれかった。


「何してるの?」
「……総司」
「ああ、その傷。痛むの?」
「少しだけ」
「そっかぁ…」


そう言って笑う総司は端から見たら異常なのだろう。私が座るベットまで寄ってくると包帯が巻かれた腕を掴んだ。痛みに少し顔を歪ませると総司はそれはそれは愛おしそうに私の頬を撫でた。そのまま口づけられ押し倒されれば後はもう欲に溺れるだけ。


「ねぇ、総司」
「ん……?」
「私のこと好き?」


そう尋ねると私の手の甲に口付けながら、


「愛してるよ」


そう甘く囁く。私も微笑みながら愛してるとこたえた。そのまま総司の手に自分の手を重ねて指を絡ませる。鎖がじゃらりと音を立てた。


「これからもずっと一緒にいようね」
「もちろん。ずっと一緒だよ」
「ふふ、嬉しい」
「僕もなまえと居られて嬉しいよ」



「一生私を離さないでね?」





溺れていたのはどちらか

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