昼休みに3Zの教室に行くと総悟がいない。一通り探して、最後に辿り着いた屋上で総悟が昼寝してた。こんな暑い日によくこんなところで…そう思いつつ梯子を上ると意外と風があって涼しい。


「みーつけた!」
「…」
「総悟」
「…んでさァ。人が気持ちよく寝てるってのに」
「別にこれと言って用はないんだけどね」
「じゃあ来んな」


そっぽを向いてまた昼寝の体勢になった総悟にむっとすると体をグラグラと揺らしてやる。手をぱしりと払いのけられてまたむっとした。なんかご機嫌ナナメみたい。つまんない。


私も総悟の横にごろりと横になるとちらりとこちらを見てまた目を閉じた。やっぱり暑いや。ああ焼けちゃいそう。雲一つない空を一睨みして目を閉じた。今なら焼き魚とか焼き鳥の気持ちが分かる気がする。


「ピンク」
「…なにが」
「透けてまさ」
「っ、さいてー」


慌てて起き上がろうとすると総悟が私の上に馬乗りしてて、いつの間に…と目を瞬かせた。少し汗ばんだ体に総悟の冷たい手が触れてぴくり。


「総悟の手冷たくてきもちー」
「気持ちいい?」
「ちょっと。変なとこ触らないで」


ぺしんと手を叩くとそのまま総悟が私の首筋に顔を埋めた。少しくすぐったい。すんと鼻を鳴らして小さなリップ音と共に顔を上げた総悟は首を傾げた。


「これ、何の匂いでィ」
「え?……ああ、日焼け止め?かな」
「あーそれか。なんか、夏って感じ」
「夏かぁ…。もうすぐ夏休みだもんねー」

「お祭りとか海とか!二人で色々しようね」
「それは楽しそうだねィ」


そう言って優しく笑った総悟につられて私も笑う。楽しみだな。

昼休み終わりのチャイムが鳴る。総悟が動く様子が無かったから私もそのままサボることにした。たしか銀ちゃんの授業だ。まあ、大丈夫だろう。


「サボり魔ー」
「総悟に言われたくないよ」
「じゃあ今から授業受けてこよっと」
「え、もうちょっとだけ一緒にいようよ」
「……もうちょっとだけ?」
「………もっと」
「しょーがねぇなァ」


にやりと笑った総悟は腰を下ろした。むかつく。でもやっぱり嬉しいと思ってしまうのは惚れた弱みってやつなのか。


「あちー」



軽く触れた総悟の手はやっぱり冷たくて、本当に暑いのかと思ってしまう。そのまま指を絡ませてみた。ぎゅっと握り返してくれる。そんな些細な事が嬉しい。ぐるりと体を総悟の方に向けると総悟もこちらを向いた。


視線があって、そのままどちらからともなく唇を重ねた。熱くなる体温と外の気温でくらくらする。6時限目もサボることになりそうだ。





夏の香り

back
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -