今日はバレンタインデー。男子は皆そわそわし、てるはずなんだが私の隣の沖田くんは机に突っ伏して寝ている。机の周りを可愛らしい包みや箱で山積みにして。

さすがモテモテ沖田くん。まだ朝なのにこの量とは。昼休みには倍になっているのだろう。
でもこれはラッキーかもしれない。今なら私のコレも渡せそう。これだけあればどれが誰のか分からないだろうし。そっと山積みの包みの上に私のチョコも乗せる。
途端に腕を掴まれた。


「それは俺に、と思っていいんですかぃ?」
「ぬわアァァァ!起きてたァア!!」


ふわぁとあくびしながらアイマスクを外す沖田くん。手、離してくれないですかね。軽く揺すってみたら逆に力を込められた。


「で?」
「え、なにが?」
「さっきの返事」
「あー、うん。沖田くんにあげる」
「ふーんそう」


するっと離れていった手。触れられてたところが熱を帯びたように熱くてなんだか寂しい。あれれ。


「ねえ、いつから起きてたの」
「あんな熱い視線を感じれば起きちまうだろ普通」
「私そんなに見てた?」
「みてたみてた」
「沖田くんってば自意識過剰ー。私沖田くんじゃなくてチョコ見てたんだよ」
「なんだ食いたいのかよ。だからそんな太るんでさァ」


ハッと笑って私の方にたくさんの包みを押しやる。いやいやおかしいでしょ。太ってるのは否定出来ないけど。


「これ沖田くんが貰ったやつでしょ。いらないよ」
「いらねぇよそんなの」
「うわーひどー。沖田くんってサイテー」
「コレ以外いらない」


私があげたチョコを指さしながら言うと机に突っ伏してしまった。おーい真っ赤な耳が丸見えですよー。


「今日ね、そのチョコ以外持ってきてないよ」
「………」
「ホワイトデー楽しみにしてるね」


そのまま私も机に突っ伏した。隣からなまえのくせに生意気、とか聞こえてきたけどそれすら今はかわいく思えた。




それは100%でできています

好きだよとそっと呟いた。

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