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懐かしいものを引っ張り出して、時々読み返す。拙い文字で書かれた愛の言葉は私の心を暖めてくれた。
お気に入りのリストランテでランチを食べて、デザートを待つ間になんとなくそれを取り出して眺めていると、声をかけられた。待ち人が来らしい。
よう、お待たせ。いいえ、お疲れ様。軽く言葉を交わし合う。
目の前の席に着いたミスタが不思議そうに私の手元を覗き込んだ。

「何を読んでんだ?」
「ミスタからもらったラブレター」
「はァ!?」

心底驚いた声で私の手元から便箋を奪い取ったミスタは顔を真っ赤に染め上げている。

「いつのだよコレ!」
「えっと…5歳?」
「なんでとってあるんだよ!」

未だに顔を赤らめながら叫んだミスタは、自分でもその手紙を読み返し、「うお…」と顔を覆い項垂れてしまった。

「Non posso vivere senza di te! なんて熱烈よね」
「揶揄うな……」
「可愛くていいと思うけど」

ミスタは手紙を握りしめながら私を不満気にじっと見つめている。

「ガキの俺の方がいい訳?」
「え?」

肘をつきながらぼそりと呟かれた言葉はあまりにも可愛らしい。彼はまるで嫉妬しているかのように不貞腐れている。

「そんなガキの自分に嫉妬してるの?」
「ちげーよ」

なんだか面白くなってにやつきながらそう言ってみると、案外はっきりと否定されて、首を傾けた。じゃあ、何をそんなにむくれているのだろう。

暫くこちらを見つめているだけだったミスタは、一つ息をついてテーブルの上の私の手を取った。そうして、自分の口元に引き寄せて、優しくキスを落とす。彼らしくないスキンシップに思わず「え」と声を漏らした私を、彼はじっと見つめている。

「愛の言葉なら俺が直接いくらでも囁いてやる」

だから、昔の手紙なんていらないだろ。
あまりに真剣な瞳が私を貫いていて、身体が固まった。じわじわと恥ずかしくなって、指先から熱が伝わってくる。
照れていることを悟られたくなくて、思わず「つまり嫉妬じゃない」と目を逸らして言うと、「…まあ、そうかもな」と優しく返されたので、更に恥ずかしくなってしまった。