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「はーい、次の人!」
「どーもォ」
「え」

 えまって銀さんじゃんえ なに? ま、え、なんでここに居るの? まだ君のところのメガネの子ならまだ分かるよ? でも貴方は違うじゃんこういうアイドルの握手会に来るタイプじゃ……ああ代理?? さては代理かいや代理だな。握手会グッズ回収の為に依頼で来たと見た。

「……えっと、どうしたんですか?」
「(銀さんの敬語……)えっ、あっいや、お兄さん、あんまりわたしのファンには居ないタイプだから……」
「えっ、あー、そうですね、うん」
「初めまして、来てくれて嬉しいです!」
「はじめましてェ……」

 めちゃくちゃどもっちゃったじゃん、うえーーーーんあの銀さんが握手会来るなんて思ってなかったから普通に情緒が死ぬ。

「前にその、しんぱ……知り合いにライブ連れてかれ……ンンッ」
「(えっライブ来てたんだ全然気づかなかった)」
「それで、まあ、最初は? どうせバラエティで天然系キャラで売ってボロが出て消えるタイプだと思ったけど?」
「(握手会ですげーこと言うな……まあそうだよね、銀さんアイドルに興味なさそうだし。だって結野アナ好きなんだよ? そもそもタイプ全然違うし)」
「けど? なんか案外歌上手いなとか? 間のトークも退屈させないし完璧だなとか? バラエティでも良い合いの手入れるなとか? 練習も自分磨きも怠らない努力家なんだなとか? つーか結構可愛いなとか????」
「…………?」
「まあ? 応援したいな的な?」
「…………ありがとう!」

 あたしは思考を辞めた。



銀さんとはお互い推してる関係値。
銀さんは新八に言われるがままライブに行ったらずぶずぶハマっていって最終的にめちゃくちゃアイドルちゃんガチ推し後方彼氏面に成長する。
そしてアイドルちゃんは推しのイメージと自分の前に居る男の姿とのギャップに虚無になる。

仕事で真選組と絡んだりお通ちゃんとマブダチだったり彼女に紹介されて万事屋に依頼したり。


「おーおー、アイドルの癖に私服は地味ですねィ」
「……沖田さん、サボりですか?」
「絶賛見回り中でさァ。俺のお陰で今日も平和に息できてんだ、感謝しろよな」
「はあどうも」
「おいおい、テレビのあの媚びた笑顔はどこいったんでィ」
「沖田さんに向ける笑顔は仕事でもプライベートでも持ち合わせて無いんで……」
「言うじゃねーか」


「ねえ、なまえちゃんストーカーされてるの!?」
「マネージャーめ……」
「わたしがいい人紹介しようか?」
「お通ちゃんが?」
「うん! 前にお通もその人達に相談したんだけど、すっごく頼りになったの!」
「へえ、じゃあ……」
「万事屋さんって言」
「あっ、大丈夫、警察に相談するから」
万事屋に行くよりは真選組のほうがマシだ、銀さんいるし。あたしが推しの圧に耐えられない。


「ストーカー? そういうのは近場の交番に言え」
「あれ、意外と冷たいですね?」
「そりゃそうだぞ、ここは武装警察、そういう案件は……」
「世間からの評判でお悩みでしたよね?」
「あ?」
「……あたしが、「真選組さんに相談したら無事解決してくれました!」ってテレビで言ったら、これ以上無い宣伝になると思うんだけどなあ」
「…………」
「それに、逆もありますよね。こんなに大変なことあったのに、真選組の人に追い返されちゃったあ。あそこの局長さんは悪質なストー……」
「わあったよ! 性悪め」
「ええー! いいんですか!? 嬉しい!」
「…………」


そして後日土方がライブ映像を観てまんまとハマる。
ライブ映像観る→へえ意外と曲はしっかりしてんだな→今度ライブやんのか…近えな…→生ライブやばいな→あいつ普段はあんな感じなのにな…へえ…この姿を知ってるの俺だけかもな→後方彼氏面が生まれる

「こないだはありがとうございました」
「……オウ」
「なんか、今日変じゃ無いですか?」
「何が!?」
「えっ挙動が……」

「おートシ、今日アイドルちゃん来てるのか、良かったなあ最近ライブ行ってグッズ買いまく」
「ウオオオオオオオオ!」
「ギャアアアアアアア」

「……ライブ来たんですか?」
「ちげえよ行ってねえよ!」
「ですよねー(トッシーと入れ替わったりしたのかなあ。土方さんが自分の足でライブとか来ないだろうし。しかもあたしの)」

「そういえば、今度お通ちゃんとコラボライブするんですけど」
「ああ知っ……へっ、へえーそうなんだ」
「はい。そこでバンド形式のコラボ曲あって。結構バンド好きの方も楽しめると思うので、真選組の方にも宣伝しときますね。あたしギターとかも弾くので」
「ギター、弾けんのか」
「はい。あー……昔、ちょこっと趣味でやってて、バンド」
「は!? そんな情報公表されてな……」
「…………?」
「……ゴホン。へえそうか。暇ならな、まあ暇なら観に行く」
「はい。皆さんにはお世話になったので、チケット良かったらどう……」
「まあ行くか分かんねえけどありがとうなありがとう行くか分かんねえけどな!」
「勢い……」

「……(あれ、あの棚に飾られてんの前回のライブの限定グッズじゃね?会場販売しかない数量限定のやつ。手に入れらんない人多くてクレーム来たってスタッフさんが言っ……いやまさかそんな訳ない……)」

ティンティロン!トュルン!

「このイントロあたしのデビューシングル」
「ウオオオオオオオオトッシーがまあた勝手に着メロ変えやがったよ!!!ウオオオオオオオオこれお前のデビューシングルかそっか!」
「(やっぱトッシーか。だよね)ふふ、懐かしいなあ。……ふんふん、ふふん」
「ぐっ……」

推しドルの鼻歌で死ぬ土方