偶然





時間、現実、理性、事情。


さまざまなものが存在しないような空間。


この部屋が支配しているのは、二人の息遣いと結露している窓。






暖房をつけることも忘れて私たちは抱き合っていた。


お互いがお互いの名さえ呼ぶこともなく、ただ沈黙の中、心の隙間を埋めあっていた。



欲望?

それも確か

心の穴も、傷もすべてをあなたで満たしたい欲望。

あなたに抱きしめられてすべてを支配されたい欲望。

ただ、それだけが私を、私たちのいるこの部屋を支配していた。







どのぐらい、時間がたっただろうか・・・





意識を手放した後も尚、私をきつく抱きしめているチャンミンの太い腕。


私に圧迫されて、浮き出た血管をなぞるようにたどっていく。 





二の腕から首筋へ


首筋から・・・





ふっくらした唇を指でなぞった。




少しだけチャンミンの眉間が動く。



「このままで・・・でも…こうしていることは・・・」


私は小さくつぶやいた後、愛おしい彼の頬にそっとキスをした。







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