Bitter





「チャンミン!」

耳元で叫ばれるジュンスの声に夢から引き戻された僕は少しご機嫌斜めに「なんですか。せっかく・・・」そう悪態をつきながらベッドから起き上がった。

「なんですかじゃないよ!ジェジュンもチャンミンも遅刻するよ!」

「ああ、はい。今起きます。」

僕の言葉にようやく納得したようにうなずくと、ジュンスは先に部屋を出て行く。

僕は適当にクローゼットの中から服を取り出し、急いで着替えた。

廊下でちょうど、僕と同じように眠い目をこすりながら出てきたジェジュンと目が合う。


「おはようございます。ジェジュンヒョン。」

「チャンミンおはよ。昨日は遅くまでありがとな。大丈夫か?」

「ジェジュンこそ。僕はもう大丈夫です。」


そういって僕が笑顔を向けると、ジェジュンもつられて顔を綻ばせる。

「そっか。」

「ヒョン。」

「ん?」

まっすぐはっきりとジェジュンの顔を見つめると、ジェジュンも先ほどまでの眠気はどこかへやってしまい、やさしいけど、意思のある視線を返してきた。


「想い出はやさしいですね。」

「ん?どうした?」

「過去は過去。いいときしか思い浮かばないんです。」

僕のはっきりしない物言いにも、ジェジュンは僕の真意をわかってくれたのか、やさしくジェジュンより高い位置にある僕の頭を二度、やさしく撫でる。

「そうだな。そうやって人間は心を守ってるんだよ。」

「守ってる・・・ですか。」

やさしく微笑む優葉が突然視界を覆い、僕はまた揺れる。

「ヒョン。またお酒に付き合ってくれますか?」

「ああ、いつでも。」

「じゃあ、来週の水曜日。」

「水曜日?」

「はい。僕と一緒に飲んでください。」

一瞬不思議な顔をしたジェジュン。

視線を外さず、ずっと僕を見つめるその大きな瞳はすぐに、僕の心の中の決意を見ると、やさしく微笑んだ。









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