First Kiss





「子供だっていわれます。ヒョン達からも、両親からも。」

「そう?大人になると嘘をつかなくちゃいけないときも出てくるし・・・」

「優葉さんはつきますか?嘘?」

優葉は少しも考えないで口を開く。

「時と場合によっては。その場の判断で自発的につくときもあるし、やむ終えないときもあるし。」

「そうですか。」

「嫌いになった?」

ただでさえ、優葉のこの一言で飛び跳ねた僕の心臓。
それなのに、優葉は僕を見上げて、じっと見つめてきたから、僕の鼓動はドンドン早くなってくる。

わざとそんな表情してるの?

余裕が無い僕は「いえ。」と短い返事しか出来なかった。

そんな僕の内心も分かっている優葉は優しく笑う。


「そんな表情しないで。ごめん、ごめん。」

「優葉さん。僕をからかわないでください。」

「だって、チャンミンかわいいんだもん。」


僕はその言葉が納得いかなくて、優葉の真似してすねてみせる。


「男にかわいいはダメです。喜ぶのはジェジュンぐらいです。」

「ふふふ。確かにね。彼は嫉妬しちゃうぐらいかわいいわね。」


優葉は右手をグラスから放し、ゆっくりと僕の頬つまんだ。


「でも、チャンミンはちょっと違う感じ。」

「僕だって男ですから、かわいいはほめ言葉じゃないですよ。」


優葉が触れている頬が熱を帯びて、もう、心臓がもたないかと思った。

僕は怒ったフリをして、顔をそっと横に向ける。



「ごめんね。だって。でも、とってもかっこいいわよ。スタイルだって顔だって。」

「中身は?」

僕の精一杯の一歩。


「ん〜。まだ深くは知らないけど、仕事ぶりを見てるとかっこいいと思う。」


心を写す鏡のような僕の顔は、緩みきったまま「ありがとうございます。」と心を込めて、丁寧に言った。


「キラキラしてるよね。」

「キラキラ?」

「ウン。うらやましい。私、今くすんでるから。」

「肌が?」

「あ!コラ!そういう意味じゃなくて!生活が!」



僕と優葉は顔だけじゃなくて身体まで向かい合って笑う。

いつの間にか笑っているうちに、優葉との距離が縮まっていく。


優葉のはじけたような笑顔を目が合った。



僕は迷わず優葉の頬を両手で包み込み、吸い寄せられるように優葉にキスをする。


さっきまでの余裕たっぷりの優葉は消え、ただただ、眼を見開いて固まってしまった優葉。

でも、そんなの一瞬だった。

すぐにいつもの調子を取り戻し、今度は少女のように頬に空気をためる。





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