Love is blind









「風が気持ちい〜」

優葉は風を感じるように瞳を閉じた。

あんまり気持ちよさそうだから、僕も一緒になって瞳を閉じる。

風が頬をすり抜け、そしてまたやってくる。

春の海風はまだ、少し肌寒かったけど、暖かな太陽が僕らを温めてくれた。


「久しぶり。横浜に来たの・・・」

「僕は仕事で着ました。プライベートは初めてですよ。」



歩き出す優葉のすぐ隣にぴったりとくっつき歩き始める。

まさか優葉が着てくれるなんて思わなかったから、あの日は僕にとって、プレゼントのような一日だった。






ゆっくり優葉の歩幅に合わせて歩くのも、たまに触れ合う肩も、すべてが愛おしくて、僕は一秒一秒が宝物のように思えた。

特別なことをしたわけじゃない。

横浜の町を散歩して、買い物をして、おいしいものをたくさん食べた。


僕はさっき買った皮のストラップを目の高さまで、持ってきて、ゆらゆら風に揺らす。
優葉はそんな僕をやさしく見つめると、同じようにストラップを見つめた。

同じものを見につけている、それだけでも毎日が有頂天になってしまうほど僕はうれしかった。


「本当ならアクセサリーとかの方が良かったかな?」

本当は僕がアクセサリーにしたかった。

「チャンミンお仕事でいろんなアクセサリーつけるでしょ?これならその度、はずしたりすることないし、ずっとつけられるから・・・ねえ、あそこ行かない?」

港を指差す優葉。
でも僕は優葉の言葉がうれしくて、立ち止まった。

「チャンミン?」

「絶対はずさない。大切にするよ。」

「うん。」








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