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「実加、おはよ」

「お、おは、よ」


次の日。昨日言った通り、ブンちゃんは数日の距離が嘘だったかのようにわたしに声をかけてきた。クラスメイトは当然驚いていた。そして仲直りをしたんだ、とひそひそ小声で話している(もちろんわたしには丸聞こえなのだけども)。しかしわたしはブンちゃんからの告白に、どことなくぎこちない返事をしてしまう。


「今日部活休みなんだけどさ」

「う、うん」

「この間オープンしたばっかのアイス屋行かね?」

「えっと、前に雑誌で見たとこ?」

「そ!どうせ行ってねえんだろぃ」

「、行ってない、けど」

「じゃ、決まりな!」


でもブンちゃんは特にわたしに答えを求めてくることもないみたいだった。昨日も特に連絡はしなかったしこなかった。それに何よりこの態度。ブンちゃんの考えがわたしには全然分からないけど、どことなく今まで通りの距離感は求められているような気がした。わたしのことを考えてなのかどうかまで分からないけど、今のわたしには救いの手が差し伸べられたようなそんな気分だった。


「無事に仲直り出来たようじゃな」


昼休み。購買に行ったブンちゃんと入れ替わりに戻ってきたまーくんに声をかけられた。どうやらまーくんも今までのように話してくれるらしい。ホッとした。


「で、なんて答えたんじゃ」

「へ?」

「何を話したかは罰として教えてもらったからの。知っとるぜよ」

「…罰?」

「ブンちゃんが勘違いして俺にまでとばっちりがきたんじゃ」

「それは、……ごめん」

「まあよかよ。で、お前さんブンちゃんの気持ちになんて?」

「、」


核心をついてくるまーくんにわたしは言葉につまる。するとまーくんはフッと小さく笑った。


「見とる限りじゃ返事しとらんのじゃろ。実加が恋愛感情を持ってないのは前々から分かっとることじゃしの」

「……分かってて聞くとかまーくん意地悪」

「プリ」

「………」

「まあ、少しずつ答えを出せばええじゃろ。ブンちゃんも急いでないみたいじゃき」


頑張りんしゃい、と残してまーくんはいちごミルクを飲みながらどこかへふらりと行ってしまった。


「少しずつ、か…」


恋愛感情を知らない幼稚なわたしに、果たして答えは出せるのだろうか。







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