アスチルベ | ナノ


「ハハッ、そないなこと考えてたん?」

「だ、だってあまりにも衝撃的過ぎて…!」

「お前の想像力のが衝撃的やろ」

「ひ、一氏くんひどい…!」

「ククッ、久々にこんな笑いましたわー」

「も、もう!馬鹿にしないでよー!」


あれから金太郎くんが入部したものの本当は不良なんじゃないかって思うとびくびくしてしまう私を変に思った謙也くんが金太郎くんと何かあったのかと聞いてきた。私の考え過ぎだったら物凄い恥ずかしいのだけど、でもやっぱり誰かに聞いてもらいたくて、ちょうど休憩時間だったので謙也くんに話した…はずだったんだけどいつの間にか白石くんや一氏くん、財前くんに小春ちゃんも居て話終わった今、私はみんなに笑われていた。やっぱり話すんじゃなかった…!


「せやかてあいつが不良なんやありえませんて」

「そ、それはそうだけど、…っていうかなんでみんな居るの!」

「謙也が手招きするから何かなと思ってなぁ」

「部長に手招きされたんで」

「なんや集まっとったから混ぜてもらいに来てん」

「小春について来てん」

「白石に聞きたいことあったから来たんやけど」

「ぎゃー!小石川くんたちまで居たー!」

「驚かせてすまんな絢香はん」

「いいいいえ私の方こそなんかごめんなさい…!」


どうやら原因は最初に白石くんを手招きした謙也くんらしく、当の謙也くんはというと面白くてな、なんて呑気に笑っていた。顔が羞恥で真っ赤になっているであろう私を見てみんなは面白かったと口々に言う。私、みんなを笑わせるために話してたんじゃないのに…!そうこうしているうちにそろそろ休憩時間も終わりらしく、金太郎くんが白石くんにこの後なにすればええん?と聞きに来た。金太郎くんと私を見るなりみんなは笑いを堪え(財前くんはククッと笑ったけど)、恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちだった。金太郎くんはそれに気付かず、白石くんに練習メニューを聞くとコートへ走っていった。まさか金太郎くんがみんなを凌ぐくらいテニスが強いとは思わなかったらしく(私も思わなかったけど)、白石くんはレギュラー確定であろう金太郎くんの練習メニューはちゃんとしたものを作るまで即席で自分が作ると言った。そのために金太郎くんはメニューを1つこなすたびに白石くんにメニューを聞く。


「にしてもほんま金ちゃんはいい子やなぁ」

「嫌がらんと全部やっとるもんな」


確かに。金太郎くんは財前くんの話じゃ物凄い手が掛かる子だったのにいざ見てみれば白石くんに言われたメニューを次々とこなしていく。


「金太郎くんって物凄い手が掛かる子じゃなかったの?」

「問題児やったはずッスわ」

「し、白石くんどうやって金太郎くんをあんなに大人しくさせたの…?」


まさか力ずくとかじゃないよね?と思い白石くんに真相を確かめると白石くんはこれや、と左手を見せた。その左手には包帯が巻かれていて…、も、ももももしかして力ずくで…?!


「あ、暴力ちゃうで?」

「ちゃ、ちゃうん?」

「え、俺そないなことするような奴や思われてたん?」

「だ、だって、包帯っていったらなんか暴力みたいな感じが…」

「ただの毒手さかい安心し」

「え?」


毒……?え、え、え?毒手って言ったよね白石くん?暴力じゃないと安心したみんなも毒手と聞いて後退り。白石くんはハハッ、とみんなが怯えるのを見て笑いながら(正直こわいと思った)偽物やから大丈夫やでー、と付け足す。


「偽物?」

「おん、金ちゃんが毒手の話しとってな、包帯巻いてちょっと騙してみてん」


そしたら半信半疑やけど信じるから、とどうやら白石くんは金太郎くんに毒手を100%信じてもらえるように努力中みたい。


「完全に信じ込ませたらいざというときの扱いも楽になるやんか、せやから邪魔せんといてな」


白石くんはにっこりと笑った。というか白石くん包帯巻くの綺麗すぎませんか…!








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