アスチルベ | ナノ


「よいしょ」


入学式も終わり、もう少しで部活が始まる。そんな時間、私は1年生がどれくらい入るのかな、とぼんやり考えながらごみを1階のごみ捨て場に捨てていた。今日は掃除当番で、じゃんけんで負けてしまった私かごみを捨てることになったのだ。同じ当番の謙也くんに一緒に行く?と聞かれたがただごみを捨てるだけだから場所を聞いて1人できた。ごみが入った袋を捨てて階段の方に歩を進めると勢いよく階段を下りてきたらしい男の子と衝突してしまった。


「わっ、」

「あ、堪忍!」

「、」


ねーちゃん大丈夫か?怪我してへん?と心配そうに聞いてくる男の子だけど私は彼の風貌に驚いた。白石くんたちもそうだけどこの男の子は一段と目立つ。髪の色は赤だし、制服は学ランを羽織ってはいるけど中に着ているものがヒョウ柄だし、っていうかズボンが明らかに短パン。着崩すという域を越えていた。この男の子の中での制服ってなんなんだろう。


「ほんま堪忍な、ワイ急いでて前見てへんくて…」

「いいよ、私もぼーっとしてたから」

「せやったらお互い様やな!」


ニカッと笑う男の子は見た目こそ不良を連想させるけど中身はとてもいい子なようだ。


「あ、言い忘れとった!ワイ遠山金太郎言いますねん!ねーちゃんはなんて言うん?」

「え?えっと、柏木絢香」

「そっか、絢香な!同じ学校さかい、仲良くしてな!」

「うん、よろしくね」

「おん!あ、ワイもう行くな!」

「今度は前見てね」


気ぃ付けるで!と金太郎くんは大きく手を振って走って行った。私ものんびりしていられない。少し小走りで階段を駆け上がっている途中、気付いた。


『遠山金太郎っちゅうまんま野性児の奴が居るんスけど』

『あ、言い忘れとった!ワイ遠山金太郎言いますねん!』


………。もしかしなくても、財前くんがこの間言ってた遠山金太郎くん、ってあの男の子…だよね。あの男の子も自分は遠山金太郎だって言ったんだもん。え、じゃああの男の子、1年生…?!確かに私より少し小さいし幼いしあんな目立つのに3年生が居る階では見なかったから同じ学年じゃないとは思ってたけど、でも逆に初日からあんなに目立つ格好で来てるなんて思いもしなかった…!っていうかあの髪の毛って地毛?地毛なの?でも地毛であんな真っ赤?嘘でしょ?ああでも嘘だったら金太郎くんは本当は物凄い不良なんじゃ…!もしかしてそういう暴力団とかの息子とか…!?どどどどうしようまさか四天宝寺の危機?!と私はパニックになってしまい、謙也くんに迷わんかった?っ聞かれてだだだ大丈夫!と焦りながら答えてしまった。もちろん謙也くんは何かあったのかと言わんばかりの顔で首を傾げた。








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