アスチルベ | ナノ


あれから千歳くんも正式では無いけど私みたいに1日でも早く馴れるためかちょくちょく顔を出しに部活に来ていた。そして気付いたらもう始業式で、私は渡邊先生と一緒に新しいクラスへと向かっていた。千歳くんとは離れていることはもう分かっていて少し残念だと思った。だけど隣のクラスということを聞いたので大きな悲しみは無くて、体育とか一緒なんだなぁと少し安心した。私が入ったのは2組。誰がいるのか聞きたかったけれど渡邊先生はお楽しみというだけで何も教えてくれなかった。


「今日はかわええ転校生を紹介するでぇ」


そんな陽気な先生の声がして、ハッと我に返る。先生は入っておいでとドアを開けながら促した。緊張しながら進んでいくと聞き慣れた声があ!と声を上げた。声のした方を見ると謙也くんが居てその前の席には白石くんも居て笑いかけてくれた。






「まさか同じクラスやったなんてなぁ」

「私もまさか2人が居るなんて思わなかった」


挨拶も終えて先生に謙也くんの隣の席だと言われて席につくと謙也くんはまた太陽みたいなきらきらした笑顔でよろしゅう!と言ってくれた。不安だったけれど2人のおかげでこのクラスで楽しくやれそうだと、渡邊先生に感謝した。


「あ、せやこれ」

「?」

「入部届けな」


はい、と白石くんは私に小さい紙を渡した。忘れないうちにとお気に入りのシャーペンで必要事項を記入していく。


「お、やる気満々やな!」

「だ、だって早く、正式なマネージャーに、なりたい…し…」

「………、」


なんとなく恥ずかしくなって最後のほうは声が小さくなってしまった。そんな私を見て2人ともきょとんとしたがすぐに小さく笑いだした。


「ははっ、絢香ちゃんかわええなぁ」

「そ、そんなこと、」

「なんや俺らも負けてられへんな白石!」

「せやなぁ、絢香ちゃんのやる気に負けないように頑張らななぁ」


小馬鹿にされたのかな、なんて思うとそれはまるで逆でどうやら私の言葉で2人は私に負けまいとやる気を出したようだった。私も頑張らなきゃなぁ、とか、今日はいつもよりたくさん仕事しよう、とか今日のメニューはいつもより多くしよか!と意気込む白石くんとおう!と力強く頷く謙也くんを見て、私はそう思っていたのだった。


「(謙也はテニス以外も頑張らななぁ?)」

「(うううっさいわ!)」


とても小さな声で2人が話してたのも気付かずに。








×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -