その後、すぐに2人とも戻ってきて謙也くんは翔太くんに来るならもっと早よ来とけ!と助けられた身なのに文句を言っていて、でも翔太くんも俺が居らんかったら空腹で死んでたやろ!と言い返して、そんな兄弟のやり取りに白石くんと一緒に小さく笑ってしまった。 「ほな、俺も弁当食べるさかい戻る」 「おー」 「またな翔太くん」 失礼しましたとまた小声で言って出ていくと思ったら何かを思い出したように声を出して振り向いて、翔太くんは私に向かってこう言った。 「兄ちゃんのこと、よろしくお願いします」 「?、うん」 返事をしたものの、私は首をかしげた。だって、おかしくない?私のほうがお世話になってるのに。そう思ってる間に翔太くんは謙也くんに兄ちゃん頑張ってな、と言って今度こそ自分の教室に帰っていった。 「翔太くんに応援されたら頑張らななぁ」 「白石までうっさいわ!」 「ねぇ、なんで私が謙也くんをよろしくって言われたの?」 「え゛、」 「だってどう考えても私のほうがお世話になってるでしょ?」 なんてことない素朴な疑問だったと思うんだけど、謙也くんは頬を少し赤らめて目を泳がせた。白石くんを見るとにこにこしていて、なんだか分からないけど楽しそうだった。 「…謙也くん、私なんか変なこと言っちゃった?」 「え、あ、いや、全然言ってへん!」 「………」 「絢香ちゃん、謙也にも色々あんねん」 じゃあなんでそんなに言いにくそうなの、そう聞こうと思ったけど私の気持ちを見透かしているかのように白石くんが遠回しにこれ以上聞かないでおいてとそう言った気がしたから聞くのをやめた。 「ほら、無事謙也の弁当もきたんやし早よ食べようや」 「うん」 「お、おう!」 白石くんの言葉で、その話題は終わり、私たちはいつものように3人でお弁当を食べた。 |