Gardenia | ナノ



「お嬢様、」

「よ、良かったん…?」

「…分からん。けど俺のために今日出席したらしいし、すぐ行くのは多分その努力を無下にするんやと思う」


それでもどこか晴れない表情に俺は杞憂しているけど。なんてことは言わずに彼に向き合った。いつ振りだろうか。少なくとも1年は会ってないのだが、しかし最後に会ったのがいつかすらも分からない。


「久し振り、白石」

「せやな、謙也」


いつか会うことになるだろう、とお嬢様には言ったもののまさか彼女にこういう形で再会させられるとは思ってなかった。きっと財前が良かったっすねと言ったのはこれのことなのだろう。お嬢様も今日出席した理由がこれのためだとさっき自ら口にしたから今日のは完全にふたりが俺のために仕組んでくれたのだろう。


「あの子、地主なんやて?」

「地主言うても15や。まだ幼い部分もあるで」

「年頃やしお前一人やと相当大変そうやけど」

「けど最近は慣れてきたし楽しい方がでかいな」

「へえ」


そら良かったやん、と謙也は安堵の笑みを見せた。自分も親の仕事を継ぐから忙しいだろうに、どうやら俺のことを気にかけていてくれたらしい。本当に謙也は良いやつだ、と改めて思った。


「謙也は?現場で研修受けとるん?」

「おん、せやけどやっぱ間近で見ると違うわ。むっちゃ勉強になる」

「…頑張り」

「おおきにな。にしてもほんまこういう場で再会できるとは思っとらんかったわ」

「俺もや。サプライズすぎるわ」

「白石てボディーガードやのうて普通に使用人やろ?せやのによう入れたな」

「お嬢様が無理矢理入れてん。ほんまハラハラしたわ」

「ハハッ!でも使用人にそこまでするて、ええ主人ちゃう?」

「そか?」

「せやろ。オサムちゃんから話聞いてんけど、あの子パーティーとか人多いとこ苦手なんやろ?やのに白石のためだけにわざわざ出たんやから、頑張っとるやん」


そう言われればお嬢様はどういうわけか(いや、以前人の波に酔いそうだからとか吸血衝動に駆られやすくなりそうだからとか言っていたけど言うたびに違う理由が彼女の口から出てくるからどれが本当かわからないだけなのだが)こんなに人の多いとこは好まない。だから出掛けるときも人の少なさそうな時間を狙ったり人の少ない道を通ることが多い(とか言って食べ物のためになると案外平気らしいとこの間知った)。だから人の関わりがより濃く、ヒトの数も多いパーティーには出たがっていなかった。それなのに俺のために出席、なんて確かに彼女は良い主なのだろう。そう思うとすごく嬉しくなった。













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