「おーい、愛理」 「、!」 「さっきからぼーっとしとるけど」 熱でもあるん?と謙也は首を傾げる。熱があるかどうか、なんて分からないけど確かに朝からずっとぼーっとしてはいる。それに心なしか怠い。 「分かんない、けど怠いから保健室で少し寝てくる」 「一緒に行くか?」 「大丈夫、蔵にも言っておいて」 「おん」 お大事に、そういうような顔をする謙也ににこりと笑いかけて保健室に向かった。 「んんぅ…」 保健室に行って熱を計れば微熱で、少し休んで様子を見ることにした。気づいたら寝ていたあたしが時計を見ると来たときは昼休みだったのにもう5時間目が終わっててちょっと寝過ぎたかな?なんて思って先生を呼ぼうとしたその時だった。 「絶対一氏くんやったって!」 え、ユウジ?誰か分からないカーテンの向こうの女の子の口から思わぬ名前が出て来てカーテンを開けようと伸ばした手も引っ込んだ。 「せやけど一氏くん彼女居るやん」 「浮気、やったりして!」 「えー?」 「やって他校の子やし結構可愛かったもん、あの子が本命っちゅう可能性もあるかもしれへんやん」 「それに一氏くん、最近呼び出しされたら行くらしいで」 「前は全然行かへんかったのに?」 「おん、せやから一部の子たちはそのうち女遊びするんちゃうかって」 なに…?ユウジが、浮気?女遊び?思いもよらない言葉たちに「そんなことない!」とか否定の言葉すら出て来なくてただ呆然と女の子たちの話を聞くしか出来なかった。要はユウジと他の学校の女の子、それも可愛い子と第三者から見たら恋人同士に見えるような雰囲気で歩いてたってこと?しかも最近女の子からの呼び出しに応じるようになった?前はしつこくない限り絶対行かなかったのに…。 「ほら、もうチャイム鳴るで」 「あ、先生」 「みんな早よ教室戻りや」 先生が戻ってきて女の子たちが教室に戻っても先生を呼ぼうとせず、あたしは寝たフリをして教室に戻るのを避けた。こんな状態で戻っても心配されるだけだもん。 少年と少女 ユウジは、ユウジは今誰が一番大切なの?小春?あたし?それとも他の女の子? |