少年と少女 | ナノ


正直、今あたしは愛されているのか分からない。


「蔵りん素敵ー!」

「浮気か!死なすど!」


浮気か!っていうユウジはあたしの彼氏。2年の始めに告白して付き合いはじめたから恋人という関係になってもう1年になる。普通なら1年の間にデートに行ったりなんだり色々なことをするのかもしれない。けどあたしとユウジの場合はデートなんて片手で足りるくらいしか行ってない。部活があるからって言ってもこんなフリーダムなんだからもう少しデートに行けるはず。じゃあ大きな理由はなんだって言うとお察しの通り、ユウジが小春小春と小春にべーったりだから。過去にデートに誘ったとき「小春とネタ探しに行くから」とか「小春とデートやねん」とか「小春と」で始まる理由で断られたことが幾度かある。そんなに小春が大事かとあたしが問えば「小春は俺の大事なパートナーや!」と頷かれた。しかも即答。それ以来、ユウジが暇なときにデートに行こうと言って連絡を待ってみても全然来なかった。でもクリスマスは一緒に居てくれたし(イヴだけどね!当日は小春とだったらしいけどね!)
、あたしの誕生日にはユウジお得意の裁縫で可愛いぬいぐるみを作ってくれたし、それなりに愛されているんだと言い聞かせた。だけどそれでも寂しさは消えてくれない。でも今更言ってユウジに「うっとい」とか、そういうふうに思われたくない。だからあたしは何も言えずにただただユウジと小春がべたべたしているのを見ているだけ。普段もクラスが離れているあたしたちは話すことも全然無ければ校内で会うことも少ない。ユウジは小春と、あたしは蔵や謙也と一緒に居ることが多いからきっとそれも影響しているのかもしれない。


「…愛理、愛理」

「、え」

「どないしたん、熱でもあるん?」

「あ…、や、大丈夫、」


…考えすぎた。気づいたら蔵があたしの顔を覗き込んでいた。やばい、こんなに蔵の顔が近くにあるのに気づかなかったなんて相当考え込んでたな。蔵はあたしの額に手を当てて「あかん」と呟いた。え、本当に熱あるの?


「愛理、少し保健室行ってきた方がえぇわ」

「熱…ある?」

「多分微熱やと思うけど一応計っとき」

「…うん、ごめん」

「大丈夫やって。それに朝から少し顔色悪かってん、調子悪いんやろかとは思っとったから」

「ありがと…、ちょっと行って来る、ね」

「おん」


蔵は良くならんかったら早退してもえぇから、と頭を撫でてくれた。…ああ、蔵が彼氏だったらどれだけ幸せなんだろう。蔵じゃなくても、もう少しあたしを見てくれたら、…だめだ、考えたら止まらない。


少年少女


恋愛をすることで感じる幸せなんて、もう忘れた。








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