ぎゅ 「愛理ー…」 「わわっ、」 今日はレギュラー同士の試合があって、千歳と謙也のシングルスのスコアを取っていたら後ろから抱きつかれた。たまに金ちゃんが抱きついてくることがあるけど金ちゃんの場合肩胛骨の高さに金ちゃんの頭がくる。なのに頭があたしの肩にある。ということは金ちゃんじゃないわけでそれ以外であたしに抱きつけるのはユウジしかいない。 「…今、手が離せないんだけど」 「………」 「…聞くだけでいいなら話してもいいけど」 と言えば大きなため息を吐かれた、肩に顔を埋めたまま。 「泣きそう」 「は?」 「死にたい」 「え、」 なになになに、どういうこと?初めて死にたいって呟いたの聞いたんだけど、え、なに、なんでそんなに落ち込んでるの? 「ユウジ、し、死んじゃだめだよ?」 「………」 「ちょ、ほんとに死なないでよ?」 「………」 「って、ていうか、ほんと、何があったの?」 「………」 「ねぇってば、」 あたしか焦って問い掛けると微かにユウジか震えているのが分かって、更に焦ったのも束の間。すぐにユウジがククッ、笑ったのが聞こえてあたしの頭はフリーズした。 「……ユウジ?」 「そこまで焦るとは思わんかったわー」 「………」 あー、おもろ、と笑いを堪えながらあたしの肩に顔を埋めるユウジ。え、なに。からかわれてたの?あたし本気で焦ってたのにからかわれてたの?こんなに心配したのにからかわれてたの?あたしは怒りが一気に込み上げてきて笑いを堪えるユウジの足を思い切り踏んで、そして腕が緩んだ隙に思い切り頬を叩いた。 「死ね!馬鹿!」 しょうねんHとしょうじょA (あーあ、怒らせた)(涙浮かべちょったけんね)(…めっちゃ痛い)(そらええ音しとったしな)(ちゅうか頬赤くなっとるわ)(………)(せやけど自業自得やろ)(いや、それは分かっとんねんけど)(せやったら謝りに行けや)(…おん) |