「うわ、バカップル居る」 「えへへ」 「とりあえず仲直りはしたんやな?」 「まぁ、そういうことや」 あの後、授業が始まってもあたしもユウジも離れようとしないで何も特別なことはこれといってしなかったけどずっと抱き締め合って気付いたら部活が始まってて2人で一緒に行くとみんなしてこっちを向いては呆れたり穏やかな笑みを浮かべたりみんならしい反応をしてくれた。そんな中、珍しく来ていた千歳があたしに小さく手招きをした。 「?」 「良いこと教えちゃるけん」 「え?」 小さい声で2人だけの秘密ばい、とユウジに言わないようにと言われて耳打ちされる。 「告白断っちょるとき、ユウジくんこう言っとったばい」 思わずその内容に顔が赤くなってしまい、それに気付いたユウジがずかずかと近寄りあたしと千歳を思い切り引き離した。 「ちょ、ちょっとユウジ」 「何吹き込んでんねん千歳」 「良いこと教えちょっただけばい、ね?愛理」 「う、うん!」 ユウジはやっぱり気に食わないみたいで変なこと言ったら死なすど、と千歳に言ってからさっさと着替えて練習に行ってしまった。 「小春以外に死なすど、って言うたの初めて見たわ」 「なんや急に独占欲強くなったんちゃいます?」 「前からあんなんやったんか…ってあかん自分の世界入っとる」 「愛理ちゃんってば乙女モード全開やないの!」 「あたし今なら死んでも心残りない…!」 あかんあかんとみんながあたしに群がって目を覚ませとでもいうかのように頬をつねったり頭を軽く叩いてきたりがくがく揺さぶってきたりして充分目は覚めてる、そう口を開けばユウジが早く部活するぞと呼びにきてみんなにいじられてるあたしを見て顔を歪めるなり勢いよくドアを閉めてしまった。 「ほんまに嫉妬深くなっとるわ」 「…でも愛理はそっちの方が幸せみたいやな」 「なんか、愛されてるって感じ…」 よかったな、蔵はそう言って嬉しそうに微笑んだ。だからあたしは満面の笑みで返した。 少年と少女 『お前らが愛理をどう悪く言おうが別れさせようと仕向けようが、俺は一生あいつから離れる気はあらへん』 あたしだってユウジから離れる気無いもんね。 |