「あ、」 いつもみたいに部活が終わってから琴音のとこに行くと、今日は先客が居った。白石と謙也や。 「もうそないな時間か」 「いつから居ったん?」 「せやなー、部活が始まって30分したくらいやろか」 あまり時間気にしてへんかったし、謙也は苦笑いをした。白石は琴音の頭を撫でて金ちゃん来たからまたなと言った。 「し、白石!」 「ん?」 「まだ、まだ居ってええねん!」 「え、き、金ちゃん?」 「謙也も、まだ居ってや!」 ワイがこんなこと言うなんて思ってへんかったのか、白石も謙也も目を丸くしてワイを見た。 「2人とも来たの久し振りなんやろ?」 「…2週間振りやな」 「やったら、もう少し琴音に話したって」 「そないなことしたら金ちゃんが話す時間、」 「ワイは毎日話してるからええねん!」 「………」 きっと2週間振りならたくさん話せることあるから、ワイが出来ないような話もたくさんあるから、せやから話してほしかった。毎日来てるワイも琴音のおかんも出来ひん話、琴音も聞きたいと思うから。 幼い赤と眠り姫 「金ちゃん」 ワイが頼んで最後まで居てもろて、謙也と別れて白石と途中まで帰ってる時やった。 「もっと居てって言うたの、琴音のこと考えたからやろ?」 「え、」 「俺らよりも何倍も何十倍も琴音のこと考えてんねんな、金ちゃんは」 「………、」 「あの時琴音も嬉しかったんやで」 白石が自分のことのように嬉しそうに笑うから、なんやワイも嬉しくなった。 |