「琴音、」 季節が一周してしもた。もう1年経ったんや。ワイは2年になった。財前は3年。やけど白石たちは高校生んなってしもた。四天宝寺高校にみんな進んだからワイもそこに行けば1年だけやけど一緒に居れる。けどそれは2年後の話で、全国大会が終わってからずっと財前しか居らんくて、寂しい。そら当たり前にレギュラーは白石たちやないやつがやっとるけど、でもやっぱり白石たち以外がワイと財前と同じレギュラーなんやって思いたくなかった。なんでなんやろな。 「ワイまた校内ランキング戦で優勝してん」 「もちろん2位は財前やで」 「財前とは今日あたったんやけどな」 「油断したら負けそうやってん」 「やっぱ財前は強いわ」 「他のレギュラーな、なんかあっさり倒してしもてん」 「もう終わり?って感じでつまらんかったわ」 こんなこと言ったら起きたとき怒られそうや、そう思ったけどでも怒られても琴音にはワイの気持ちを知っててほしかったから、ワイは思ったことを全部琴音に話した。 「そういえばな、コシマエって今アメリカに居るんやって」 「いや、全国大会の後から行っとったけどな」 「そろそろ帰ってきてへんかなー、なんて思って」 「オサムちゃんに聞いてみたんや」 「コシマエってまだアメリカなん?って」 「今朝聞いたときは分からんって言われたんやけど」 「青学の先生に聞いてくれたらしゅうて、部活ん時に教えてくれてん」 そこで、思わずため息が出た。 「琴音も起きへんしコシマエも居らんし」 「ワイの楽しいこと減ってばかりや」 琴音もコシマエも、次に話せるのはいつなん? 幼い赤と眠り姫 「琴音…、1年ってあっという間やな」 「また琴音置いて全国大会行かなあかんねんもん」 「………」 「なぁ」 ワイが白石たちとまた全国大会に行くときは必ず起きててや。 |