幼い赤と眠り姫 | ナノ



「もしもし、金ちゃんか?」


U-17っちゅう合宿中やった。夜に電話が来て、誰やって思ったらオサムちゃんからやった。


「オサムちゃん?」

「琴音んことで言い忘れててん」

「え」

「お前が行けへん代わりに、俺とか健坊が琴音んとこ遊びに行っとるからな」

「………、」

「あと琴音の友達とか部活のやつらにも頼んでたまに行ってもろてるから」


やから琴音のことは心配せんとき、ってオサムちゃんはいつもと変わらん調子で言った。ほんまは合宿中もずーっと気になっとった。琴音寂しくないんやろか、退屈やないんやろか、って。琴音のおかんも毎日行っとるけど琴音のおかんが帰った後からワイが行くまでの時間に誰か来るなんやあまり無いと思うねん。やって白石たち3年生は受験生っちゅうのやからみんな勉強勉強って忙しいやんか。やから琴音の友達かて行きたくても勉強せなあかんからたまにしか行けへんやろうし、他のみんなかて前に毎日行ってて偉いってワイのことを誉めたからワイみたいに毎日行けるほど時間無いんやと思う。せやからオサムちゃんの言葉はほんまに嬉しかった。


「オサムちゃん」

「うん?」

「いろんな話、したって」

「分かっとるって」

「ワイ、琴音のクラスのこととかよう知らんし」

「おん」

「難しいこともよう分からん」

「おん」

「やからワイが分からんことも話したって」

「もちろんや」

「あ、あとな」

「ん?」


幼いと眠り


「帰ったら合宿の話ぎょうさんしたるって伝言よろしゅう」


オサムちゃんはハッハー、っていつもと同じように笑ってしっかり伝えとくわと電話を切った。直後に消灯の時間やって言われたからいつもより元気な声で返事した。








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