幼い赤と眠り姫 | ナノ



「ふんぎぃ!」


四天宝寺は順調に進んどった。準決勝も、ちょっと危なかったけど、勝ち進んで、あとは決勝だけやった。せやけどその決勝も、あとワイのシングルスだけや。ワイのシングルスで、勝敗が決まる。


「デュース!」


その最後の相手はコシマエでもあの立海の怖い部長でもない、高校からテニス始めたっちゅうやつらしいけど一応小学生ん時に遊び程度でやっとったらしゅうて、それもあってかコシマエやあの部長みたいにものごっつ強い。そんな手強い相手やから、勝負は五分五分やった。


「金ちゃんファイトやー!」

「勝つんや金ちゃーん!」

「あと2ポイントやでー!」


みんながワイを応援してくれてるのが聞こえる。琴音も応援してくれてるんやろか、ちゃんとワイらの頑張り、届いてるやろか。そんなことを思ったのがいけなかった。


「っ!」


隙をついてポイントを取られた。あかん、マッチポイントや。ここでワイがポイント取ってデュースに戻さな負けてまう。琴音に優勝出来んかったなんや報告したない。


「金ちゃん、」

「金太郎はん…」


みんなの心配そうな声が聞こえる。あかん、このポイント落としたらあかん。琴音に、優勝したって言うんや。


「金ちゃん、」

「絶対勝ったる」

「、」

「琴音に優勝トロフィー見せるって約束したんや」


せやから、絶対ワイは勝つ。


幼いと眠り


「金ちゃん!」


ワイのサーブ。落ち着いて打とうとしたまさにその時、静かやったコート内に声が響いた。ワイだけやのうて誰もがその声に顔を向ける。四天のみんなをかきわけて、ワイの名前を呼んだ。


「琴音、」


それは、髪が伸びて、背も少しのびて、大人っぽくなったけど、でもやっぱり3年前と全然変わらん琴音やった。








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