「琴音、東京行ってくるな」 「ほんまは明後日から始まるらしいねんけど」 「会場の下見とかあるさかい」 「寂しいけど一旦琴音とばいばいせなあかんねん」 「やけど、ワイ優勝トロフィー持って白石たちと来るから」 「楽しみに待っとって」 琴音からの返事は無い。やっぱり起きるの難しいんやろか。でもワイは信じる。琴音が起きてくれる、って。 「あ、せや琴音」 「ワイの今の担任と顧問、そんでオサムちゃんにもお願いしたんやけど」 「ワイらの試合がどんなんか琴音にも分かるように高校で校内放送するときは琴音んとこにも伝わるようにしてもらえるから」 「せやからワイが来れなくてもワイらが今なにしとるか、どんな試合しとるかは分かんねんで」 「これなら、琴音も東京に居る気分やろ?」 信じとるけど、もし起きれなかった時のことを考えて、ワイはオサムちゃんと担任と顧問に頼みごとをした。担任と顧問は琴音のことを知らんからはぁ?っちゅう顔をしたけどワイが必死に説明したら分かってくれた。なんかよう知らんけど高等部の先生の中に琴音のことを知っとる人も居るんやって言われた。なんでやろ。よう分からん。でもそのおかげで琴音にも全国大会でワイが活躍しとるとこ聞いてもらえるんや。 「琴音」 「ワイ、頑張ってくるな」 ワイは琴音の頭を撫でて、病室を後にした。 幼い赤と眠り姫 「金ちゃん、琴音にはちゃんと言うてきたん?」 「、おん!」 集合場所に行くともうみんな居て白石に怒られるかもしれんと思ったらちゃんとワイが何処に行ってたか分かってくれとった。ワイが頷くと白石だけやのうてまわりのみんなも笑った。 「…ほな、行こか」 「絶対優勝やーっ!」 琴音、ワイ絶対優勝するからな。応援しとってな。 |