dream | ナノ



えっちい










「っふ、ぅ」

「…っは、っ」


びくびく、と腰が震える。そして彼は色っぽい息をつく。どうしてこんなことになったんだっけ、と頭を巡らせた。


「は、」

「だから、泊まりにきた」

「いやいや泊まりもくそもここ寮やけど」

「わかってるよ」

「分かってはるならハイ、回れ右」

「いや」

「いや、て」

「廉造ももう少ししたら帰省すんでしょ?」

「まあ、そらぎりぎりまでは居るけど帰らなあかんし」


わたしのためにぎりぎりまで居てくれているということは知っていた。だからこそだった。特に何がしたいと言う訳じゃない。ただ廉造が部屋にひとりのうちに泊まっておきたかったのだ。本当はだめだけど、でも寮暮らしである以上わたしたちが居る時間はどうしても決められてしまう。だけど今は夏休み。そして今は廉造が部屋にひとりだけ。暑いからひっつくのはあまり望まないけど、同じ空間に長時間居られる。こんなチャンスは滅多にない。だからわたしはこうしてこっそりやってきたのだ。とりあえず、と廉造はわたしを部屋にいれてくれた。優しい。そしてわたしがどうして泊まりにきたのか話せば、はあ、とため息をついた。


「…まあ、廉造が嫌なら帰るけど」

「嫌やないけど、むしろ大歓迎なくらいやけど、はあ」

「言ってることと矛盾してる点が見受けられますが廉造くん」

「覚悟してはる?」

「は?え?なにが?」

「男の部屋に来たってことはそういうことやろ」

「あ、あー…」


いや、まあ、覚悟してないというわけではなかったけども。まさかこの段階で持ち出されるとは思ってなかった。いやでもここで持ち出さなきゃどこで確認すんだって話でもあるのか。


「一応、してるけど」

「…ほんまに、なにされても知らんよ」

「……はい」

「それでええなら、どうぞ」


というわけで泊まることになって、ご飯は適当にコンビニ行って買ってきて。人が居ない時間帯にこっそり歯を磨きに行って、なにかしているらしい廉造を放ってわたしは座ってゲームをしていた。はずだった。


「…ユイ」

「ん……、…え?」


気づいたら寝てて、いや寝てたには寝てたけど起きてからの状況がおかしい。わたしの目の前には天井を背にして廉造がいて。なぜかわたしは横になっていて、目の前の廉造はそんなわたしに馬乗りで。


「れんぞ、?」

「無防備にもほどがあるんやわ」

「へ、」

「堪忍、ユイ」


そうして廉造はわたしに何度も口づけを落としながらわたしの服をあれよあれよという間に剥いでしまって、いつの間にか固くなっていたそれをあてがって、わたしに気遣いながらもいれて、そして冒頭に至る。わたしはもう痛いのか、気持ちいいのかなにがなんだかわからなくなりそうなくらいぐちゃぐちゃになっていた。


「ふ、ぅ、んんっ」

「ユイ、」


掠れた声で、わたしの名前を呼ぶ。答えたくても呂律が上手く回らなくて、返事の代わりにと廉造の手を握れば色っぽく笑った。


「すき」

「っぁ、わたしも、すきっ」

「…後悔、しとらん?大丈夫?」

「え、っ」


ゆるゆると腰を動かしながら、色っぽく呼吸を繰り返しながら不意に聞いてきた。その顔は不安げだった。でも、わたしに後悔はなかった。上手く言い表せないけど、それでも後悔がないのは確かだった。


「してないっ、あっ、ぁ、」

「なら、よかった…!」

「ひ、あ、あっ、や、だめっ、」

「っは、ユイ、イきそ?」


小さく肯定しながら抱きつけばまた色っぽく息をはいて、律動が激しくなった。その律動に声にならない声をあげて、頭が真っ白になって、それから廉造が小さく声をあげた。それから触れるだけのキスをわたしにして、彼はいつもみたいにへにゃって笑った。それがいつにもましていとおしく感じて、思わず自分からキスをした。


「ユイ」

「?」

「すき」


そしたら廉造はわたしをぎゅっと抱き締めた。暑苦しいけど、幸せだからそのままわたしも抱き締め返した。時計は深夜を指していた。



ミラクルサマー






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