dream | ナノ



最初はすごく離れてて、それから3つくらい前、2つ横、斜め前、って来たから次は隣になれるかな、なんて思ったのに。


「仁王、お前また一番後ろかよぃ!」

「そういうブンちゃんはこれで何回連続じゃ」

「ぜってー、仕組まれてるだろぃ!」


仁王くんは、いちばん、うしろ。わたしは弾いた番号と黒板に書いてある座席表を見る。


「いちばん……、まえ」


思い切り離れた。あれ、今日の占い1位じゃなかったっけわたし。所詮占いは占いっていうことなのか。うー、とへこんでいると


「お前さん、ブンちゃんの隣か」


ひょい、と仁王くんがわたしの番号を覗き込んだ。びっくりして後退ると仁王くんがすまんすまん、と笑いながら謝る。と仁王くんの言葉を聞いたらしい丸井くんがまじかよぃ!よろしくな!とにかっと笑った。丸井くんだったら、良いかな。わたしは前向きに考えながらよろしくねと答えた。





…はずなのだけど。


「え、あ、あれ?」

「おー、おはようさん」

「おは、よ」


次の日来てみたら何故か仁王くんが丸井くんの席に居座っている。そして丸井くんは丸井くんで仁王くんの席に居座っている。昨日の話だとわたしの隣は丸井くんで仁王くんは一番後ろじゃ…?と疑問を抱いてると仁王くんは立ち上がって何処かへふらりと向かってしまった。よく分からず首を傾げていると丸井くんが仁王くんの席(いや、ここは元々丸井くんの席か)に座る。


「お前、仁王と付き合ってんの?」

「……え?」


違ぇのかよぃ、と丸井くんが聞いてきたからとりあえず頷いた。わたしが、仁王くんと?いやいや夢の話すぎるよ丸井くん。確かにわたし仁王くんのこと好きだけど仁王くんがわたしのこと好きなわけ無いって。だって仁王くんだよ?わたしより可愛い女の子にたくさん告白されたりしてる仁王くんだよ?そんな仁王くんが、わたしを?あり得ないあり得ない。丸井くんはわたしの答に対し少しつまらなそうに、でも何処か楽しそうにふーん、と言う。それから席が変わった理由を話してくれた。


「仁王のやつ、最近視力落ちたから変わってやったんだよ」

「へぇ、でも丸井くんこれでやっと一番前から抜け出せたね」


ふふ、と笑うと助かったー、と笑う丸井くん。そこで仁王くんが戻ってきた。戻ってきた仁王くんは自分の席に座る丸井くんを見ると顔をしかめた。そしていつも誰かが自分の席に座ってても何も言わない仁王くんからは想像がつかなかった一言。


そのは俺の場所
(じゃから勝手に座るんじゃなか)


(う、え、にお、くん(な、なんか、期待、しちゃうんだけど…))(顔赤いけど熱でもあんのか?(やっぱこいつ仁王のこと好きなんだ))(え、いや、なんでもない、です)(そうか?(ほんに可愛いのぅ))((…仁王のやつ反応見て楽しんでるし))







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